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「え、マジでっ!!」
昼のチャイムが鳴った。
長門と一緒に部屋に入ってきた辰綺にさっきのことを教えてやると、ここ最近1番の笑顔でそう言った。
…目ぇキラッキラしてんなぁ
ソファに座る辰綺は長門にどうどうと落ち着かせられる。ほんと、可愛いんだから。
「ガチだガチ。俺が今まで嘘ついたことあったか」
「「あった」」
「……長門まで言わなくったっていいじゃねぇかよ」
「だって、なぁ?俺のミルクティー飲んじゃうし。長門も前なんかやらてなかったか」
「うーん、俺は貸した漫画が未だに帰ってきてないかなぁ。毎週月曜日に今週中に返すって言われてるんだけど」
「うっ……」
なんか、もう、いいやっ……
まぁともかく、辰綺の笑顔でそんなことはどうでもよくなる。あー、本当に可愛い。
『雨宮蒼生』のファンっていうのは、もうわかってる通りこいつのことで、当の本人はそのことを知らない。何を知らないって、『雨宮蒼生』が自分を抱いた男だっていうこと。
実際知らなくていいことなんだと思う。
横浜に行く前、物凄く酔っ払って帰ってきたことがあった。セックスの後の気だるさも、掠れた声も一緒にして。
…それが、その『約束』の日……
慎が反故したという『約束』。恐らくどっかで待ち合わせしてたんだろうが、そこに慎は現れなかった。からのヤケ酒ってとこだろう。
「……カオス……」
「ん、なんか言ったか」
思わず呟けば地獄耳の辰綺に聞かれる。俺は「相変わらずいいケツしてんなって」と答えた。すんげぇ睨まれたけど思考に気づかれるよりは全然マシだ。
「てか辰綺、 お前まだ付けてんのか、ソレ」
Vネックの空いた首元に見えたのは細い銀のチェーン。そしてその先には俺のあげた”ソレ”がある。ここ最近見てなかったから、やっとこさ辰綺も外したと思ったのに。
「うっせぇな。俺の勝手だろ、使わねぇと勿体無いからだ」
「違うんだなこれが。貴式准教、こいつずっと付けてますよ、コレ。学校で付けて学校で外すけど」
「は?何お前バカなことやってんの?家で付けりゃいいじゃんか」
「はぁぁあ!!??うっさいな!長門、てめぇも余計なこと言ってんじゃねぇ!」
「しかもここ最近ずっと触っててさぁ?愛を感じるね、愛を」
「長門ぉぉぉぉ!!!」
辰綺が半ば本気で長門の首を絞める。だけどほんとの事じゃんか、と長門は辰綺の腕をすり抜けて脇腹をくすぐり始める。それをやっていいのは俺だけだ今すぐ離れやがれ。
じゃなくて
「ずっと、って、お前」
「だから、うっさい!!」
「人肌寂しいんだろー?授業中上の空で、休み時間になったらなったで色気振りまいてやがるし。俺がいとー抑止力になってんだよ?感謝してほしいね」
「色気なんて振りまいてねぇし!てか抑止力ってなんだよ!!」
「このバカみたいにでかい大学だよ?ゲイやらなんやら、お前のこと狙ってる人間の1人や2人余裕でいるってこと」
人肌恋しいって、お前、そりゃあないんじゃないの。しかもソレずっと触ってるって、何。いきなりどうしたの。おかしいよ、お前。
俺たち終わってるんだよな?そうだよな?
『もう一度』はないっって、お前が言ったんだろ?恋人にはなれないなりたくないって。
だけどまぁ、気づいちゃいなかった。
入試問題に『この時の主人公の気持ちを答えよ』とかいう問題をつくって、何でわからないんだ、と採点の時に毎回思ってるのに。
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