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□□□□
俺は、選択肢を間違えてない。
□□□⊿
来たる土曜日だ。俺と辰綺はある出版社の前にいた。待ち合わの時間は少しすぎているが、当の本人である慎が来ない。
「なぁ、新。雨宮蒼生ってどんな人だろうな」
「さぁなぁ、普通に人だろ」
「ええ、結構イケメンってネットじゃ言われてるけど」
「…食うなよ」
「食わねぇよ!!そこまで見境なくないわ!」
最後に誰かさんじゃあるまいし、と付け加えた。ったく、いちいち一言多い。いいか、第一俺だってそこまで見境なく食い散らかしてねぇわ。最近はお前くらいしか抱いてねぇからな。
そう心内で講義して、ジャケットのポケットから煙草を取り出した。辰綺は煙草が嫌いだから顔をしかめたが、気にはしない。
…吸ってなきゃやってらんねぇ状況だし…?
銘柄はlucky strike
意味は”金鉱を掘り当てた者”だ。
「あ、新、言い忘れてたんだけどよ、前に聞いてきた男いんじゃん?バーに来てないか。そいつ来たぜ、ちょっと前に。あん時はわかんなかったけど」
辰綺が少しだけばつが悪そうに言った。まぁ、その理由はそれに嘘が混じっているからだろう。でも俺はその嘘を知っている。
「そうだったのか。悪いな、わざわざ」
だから知らないふりをした。
「結構なイケメンだったからなぁ、連絡先でも渡せばよかった。いい金ヅルになりそうだったのに」
「金ヅル、ね…そんなにいい男だったのか」
「おー、なんて言うんだろ、儚げだったけど芯がありそうな感じだった。あ、雨宮蒼生もあんな感じかなぁ、華があるんだけど暗い感じが似て」
そこまで辰綺が言った時、俺は向こうから男が走ってくるのを見た。そいつは辰綺が「似てるかもしれない」という言葉を言い終わるのとほぼ同時に俺の隣に来た。
染めた茶髪の目鼻立ちの整った、俺の幼馴染。
「それは、こいつみたいな男か」
指差して問うた。少し息切れをした”幼馴染”はそれに気がつかず声をかけてくる。
「あぁ、新、遅れてごめ…ん、って………は?」
「…え…………」
フリーズ。キャパシティオーバー。呆然。
いろんな言葉が今の状況に当てはまる。
そんな中俺は薄く笑って辰綺の肩を抱き寄せた。倒れそうになるくらい辰綺の足は棒で、動く気配は全くなかった。
「久しぶりだな、慎。紹介する。俺の義理の息子の貴式辰綺だ。お前のファンなんだ。お前がこの間行ったっていうバーにもたまに行ってるから、会ったかもしれないな?」
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