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あれ、と声がかけられた。
「どーしたよ。今日はやけにご機嫌じゃん?」
「長門…いや、まぁ、別にそんなことは」
「嘘つけ。顔に書いてあんぞ。ウキウキワクワクしてますって」
アホ言え。誰がそんなガキみたいな顔してる。
だけどまぁ、実際そうだ。
大学の第二円形講堂。
新の研究室のある棟の隣の建物の一階にそこはあった。俺と長門は今からそこで近代文学の講義を受ける。
まぁ、新の授業なんだけれども。
新がイケメンっていうのもあるせいか、それとも普通に講義の仕方がいいのか。
席はほぼ満杯に近い。俺は講義が始まる10分前に入室したけどその時点で後ろから五列目くらいしか空いてなかった。
「で、今日なんかあるの」
俺の隣に座りながら長門は聞いてくる。俺は持っていたスマホをしまって、ため息をつきつつ答えた。
「ちょっとな。人と会うんだ」
「へぇ!珍しい、約束なんて今までしたことなかったじゃん」
「まぁ、ね。久しぶりだし」
「……おいおい、マジで顔にやけてんぞ」
…それはヤバいな。治さねぇと気色わりぃよ、ちょっと。
だって今日の約束の相手はマコトで、客で、なのに嬉しいって。
ヤバいでしょ。あぁ、金づるって思ってりゃいいのか。そういうことにしておこう。金落としてくれるからって、ことに。
俺はスマホを鞄にしまって、ノートと筆箱を取り出す。もうあと数分もしたら講義が始まる。
…あと、5時間後、かぁ
ちらと見えた腕時計の針は、それを示していた。
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