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追い詰めたシンは面白いくらいに顔を青ざめさせていた。
けれどそれは”普通”の嫌悪からみたいだから、俺はかまわずにベビードールを掲げる。
いやぁ、にしてもあの深幸っていう男いい趣味してるなぁ。シンを商品扱いしたのにはほんと腹がったけど、これには感謝しなければいけないね。
…紺の生地にたっぷりのレース、金糸の刺繍、まるで
シンのためにあつらえたようなアンダーウェア。
さらに付属されていたTバックがこれまた扇情的だ。
…何せ総レースの紐なんだもん…
俺は内心あの男に感謝しつつシンの頬に手を添えた。
「俺は見たいなぁ、シンがこれ着てるとこ」
「っ、の、変態っ」
「うん、昔からよく言われてる。でさ、もちろんただとは言わなから」
俺は3本指を立てる。そしてそのうち1本を追って、
「今度新刊を出すことになっていてね、それも3冊。それを3冊ワンセットで3種類全部あげよう」
「それって、つまり、全部で9冊ってことか…?」
「そうそう、サイン用読む用保存用の3冊。君のことだからこういうこと好きでしょ」
「うっ…」
前にシンの部屋に行って本棚を見た時、まぁその本の多いこと多いこと。
しかも全部ブックカバーかかってて日に焼けないようにカーテンまでくっついてるっていうね。
…よっぽどの本好きだよねぇ…
だとしたら一度はこういうことをやってみたいはず。
俺の本は大概ハードカバーでしか出さないから3冊買うのはなかなか勇気がいる。
たとえ1回5万のウリやっててもキツイ額だ。
「……2つ目は」
「君のいうことを一つだけなんでも聞こう。死ぬ以外のことならなんでも」
「…3つ目」
「旅行に行こう。青森とか、九州とか」
シンの眼がびっくりしたように見開かれた。いきなりこんなことを言われたからだろう。
あまりにも場違いな俺の発言は鼻で笑われた。
「なんで、旅行なんだよ。頭おかしいんじゃない?」
いや、そうでもないと思うな。俺は。
君がこの下着を着ることよりは全くもって普通だと思うよ。
もちろん、旅行、などと言ったことには理由がある。そりゃ、あるさ。
「思い出を作りたいんだ。君とのね。アフターだと思ってさ、OKくれないかな」
「……それは、どっちに、換算されるの」
「だから、アフターだよ。キャバ嬢が一緒に来てくれるのとおんなじ」
いいだろ?とにこりと笑えば、シンは観念したようにベビードールを受け取った。さらりと触り心地のいいそれはシンに、本当、よく似合っている。
「きょ、う、だけだから」
俯いて顔を真っ赤にさせたのは果たしてそれを着るからか、それとも
…約束をしたから、か。
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