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走って走って人のまばらになったキャンパスの適当な講義室へ入る。
入口から1番遠いゼミ室は普段からあまり人が寄り付かない。食堂に行くにもカフェへ行くにも少し遠くて不便なのだ。
入ってすぐに運動不足がたたってか、その場に座り込む。
柏葉に会ってあまつさえ会話(というにはこちらがどもってしまっていたが)を交わしてしまった。
心臓が壊れてしまうと錯覚するほどの心拍数はいつぶりだろう。大学に入ってからあんなに近くで会うのは初めてかもしれない。
会わないように意図して避けていた部分もある。だからこそ彼にあった時に騰がってしまった。
後ろから伝わる体温と声に驚きと戸惑いと喜びとが混じり合う感覚。
その瞬間にまだ忘れていなかったと思う自分がいた。そのことに安心したことも事実だ。
しかし同時に今も思い続けていると証明されてしまったのだ。
この気持ちを嬉しくも悲しいと感じる。
どっちつかずな自分が嫌だ。
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