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「………え、?」
「よう、おはよ。」
驚いて見つめたまま固まる俺に声をかける柏葉。
声をかけられるなんてまずないから、動揺した俺はパニックになって椅子から転げ落ちそうになる。
「うわっ、」
「危ねっ!」
階段教室だから椅子と机の距離はそんなにないので咄嗟に机にしがみつく。
ふぅ、と息を吐き出すと左腕に感じる感触。
柏葉が俺の腕を掴んでいた。
え、と小さく出した声は柏葉に聞こえたのか。
またもやパニックの俺は自分の腕と柏葉の顔を交互に見る。
「お前、割と危なっかしいな。」
そう言って少し笑う彼の顔は今俺だけに向いていて。
彼女に向けるような顔では絶対にないけれど、それでも今この瞬間だけは俺一人に見せる笑顔だ。
それが例え呆れからくる笑いだとしても、それでも今は充分すぎる。
溢れてくる想いを押し込めて、泣きそうになる自分を叱咤する。
こんなところで泣いたら相手が困るじゃないか。
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