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先程椅子から転げ落ちそうになった時に咄嗟に掴まれた腕。
それがそのままであると気にかける余裕すら今の俺にはないのか、客観的に分析しだそうとする脳に急ブレーキをかける。
ちがう、そうじゃない、それよりここから逃げないと、なんで、腕を離して貰わないと、まだ掴んだままだ、外れない、逃げてどうする、俺はどうするべきなのか、どれが正解だ、俺はーーーーーーーー。
パニックに陥った思考回路が走り出し、ブレーキはかかりそうにない。
どうすることもできず、掴まれた腕を見ながら固まる。
俺にはどうしても彼の手を振り払うことはできないんだ。
「なぁ、」
黙ったままだった柏葉が音を発する。
ああ、俺は何を言われるんだろう。何か気に触ることをしたのか、…嫌われただろうか。
直接本人から言われることほど心に刺さるものはないというのに。
この男の一挙手一投足すべてが気になって、俺の気持ちを揺さぶるんだ。
「……………………なまえ、教えて。」
身構えて身体を固くした俺に予想外の言葉が聞こえた気がした。
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