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ーーーーー「俺に、付き合ってくれないか。」
夕日に染まる階段教室。
真咲だけだと、柏葉から吐き出される言葉は、俺にとっては酷すぎる。
彼には、彼女がいて。
男が好きなわけでもなくて。
そして、彼はモテる。
そんな男が俺に、付き合ってほしいと言うのなら、それは謙遜でも悲観でもなくて、単純に"本命ではない"ということだ。
心臓の音が脳内を支配する。
俺は結局一番にはなれない。
「…真咲?」
呼ばれた名前にはっと我に帰る。
そうだ、ここはまだ教室で柏葉の前に俺はいる。
「ぁ…えと、付き合う、って、その。」
無理矢理絞り出した声は震えていて。
今にも掻き消えてしまいそうだなと心の中で冷静な部分の自分が言う。
「おい、大丈夫か?顔色が悪いぞ。」
鏡がないから分からないが相当酷い顔なのだろう、柏葉が眉間に皺を寄せて鋭い視線で目線を合わせてくる。
心配してくれているその優しさは嬉しい。が、今はただただ苦しい。
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