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「マサキがこんなに慌ててるの初めて見たよ。」
クスクスと笑いながら楽しそうに喋り出す。
俺自身も思い返してみて恥ずかしいと言うか、いたたまれない。
思っていた以上に柏葉との繋がりが何もなくて少々焦ったのだ。
俺と柏葉の間には何も、本当に何もないのだということを目の前に無理矢理突き出された。
そこから来るどうしようもない焦りと不安。
崩れ落ちそうな感情を保つために、現れた斎藤は唯一縋りつけるものだった。(そんなこと斎藤には言えないが。)
「…悪い。ちょっと見つからなくて八方塞がりだったから…。ホント、いきなりごめん。」
未だ斎藤の顔を見上げられない俺は俯いて謝罪を繰り返す。まだ整理がつかず混乱しているからか、小さな声だ。
「マサキ!!」
斎藤のハリのある、芯の通った声に反射的に顔を上げる。
突然名前を呼ばれて驚いている俺に斎藤は続ける。
「そんなに謝らなくていいよ。俺はそこまで気にしてないし!!マサキは気にしすぎ!!ほら、ちゃんと顔上げてよ。」
顔を上げて見えた先には眩しいくらいの太陽の光と、斎藤の笑顔があった。
そして自然と俺の憂鬱な暗い感情も吹き飛ばされる様な気がした。
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