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『…よし』
僕は鏡の前で濃い青のブレザーを羽織る。
今日は…
聖西(セイニシ)第三高等学校の入学式。
寮の部屋の中
僕は一人、ネクタイと格闘する。
真新しい制服は何処か、ちょっとぎこちなくて…
期待と
不安が僕の中でいり混じる。
不安を解消しようと、ネクタイを締める手を止めて先に
『やっと会えますね。先輩』
僕は少しだけゴムの伸びてしまったシュシュで髪を束ねる。
このシュシュは僕のお守り。
二年前、卒業した先輩が手作りしてくれたもの。
髪は…少しでも先輩の隣に立っても浮かないように
薄い金色に染めた。
僕のこれから通う高校は
成績第一で
校則が驚くほど緩い。
…と言っても進学校だ。
あまり奇抜なのも…と思い
薄い金色に染めたのである。
(いくら校則が緩いからって…先輩が聖西第三高校に入れるほどの成績を持っていたなんてね…)
懐かしくて、口元が自然と緩む。
リラックス出来た僕は、再びネクタイと格闘をする。
思いの外、今度はすんなりとネクタイが結べた。
(中学一の問題児…今はどうなってるんだろう)
お互いの連絡先を交換せずに
してしまった約束。
先輩と僕が初めて会話した日。
目を閉じると
二年前、生徒会副会長を務める僕に
卒業式の前日
告白してきたあの日の記憶が蘇る。
(まさか…同性に告白されるなんて…)
そして何よりも
『あの日から忘れられないこの想いはきっと…』
呟いて壁時計を見上げると
針は、8時30分を回っていて
『そろそろ行かなきゃ』
僕は、生徒代表挨拶スピーチ用の紙持って
部屋の扉を開けた。
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