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弟
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兄貴とは昔から、仲の良い兄弟だった。
いつからだろう。
兄貴に、弟として見られるのが嫌になったのは。
兄貴を、兄貴と呼べなくなったのは。
こんな浅ましい気持ちがバレたらきっと、嫌われるから。
「…祐(ユウ)。母さんが飯だって呼んでる」
「ん、さんきゅ。ところでお兄様と呼んでも良いのだよ?」
唯一俺にできる精一杯の気持ちの表現が、名前を呼ぶことだと知らずに、
ふざけたように、『兄』を強調してくるこいつに、俺の気持ちが届くことは、きっと一生ないんだろうな、と。
すれ違いざまに祐に頭を撫でられた嬉しさと、それが兄弟であるからであるという切なさを
すべて吐き出して、また次の瞬間から、兄貴の望む『弟』になれるように、
小さく「祐」と呟いた。
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