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─見返り─
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悠真は暫く沈黙するとそこで言い返した。
「なあ、あんた。誰と間違えて俺に言ってるんだ?」
そう言って言い返すとナギは無言のまま、何も答えずに食事の準備をした。まるで聞いてない素振りだった。奇妙な鼻唄を唄って上機嫌になりながら小さなテーブルの上に赤いテーブルクロスを敷くと、デミグラスソースがかけられたハンバーグのお皿を置いた。その隣に篭に盛られたフランスパンを置いて、サラダが入ったお皿を並べて、最後に赤ワインをグラスに注いで、食事の支度の準備を終えた。
「お腹すいただろ? さあ、お食べ。薔薇の花を1本、飾るだけでも素敵だろ?」
彼はそう言って赤い薔薇が一本入った花瓶をテーブルの上に置いた。まるで恋人達が一緒に過ごすような特別なムードだった。異常な光景を目の当たりにすると悠真は思わず息を呑んだ。
「またシカトかよ、なんだよそのテーブルの上に飾った薔薇はよ! まるで恋人気分にでもなった気でいるのかお前っ!?」
「何を言ってるんだ悠真。私達は既に恋人同士じゃないか? あの時、繋がったのは何よりの証拠だろ?」
「ッ…――!? ふっ、ふざけるな! あんなのは只のな…――!」
悠真はあの時のことを突然思い出すと、カッとなって言い返そうとした。だが、ナギの手元にはスタンガンが握られていた。それを目にすると、怒りを込み上げながらも自分の唇を噛み締めて堪えた。
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