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目が覚めたら……。
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「答えは簡単だ。電波が悪い所に『ワザと』いるからだ。だから状況次第では簡単に電波が消えるし、それに生じて携帯は圏外になって通話も出来なくなる。つまりはそう言うことだよ悠真君」
男は電話越しで怪しく笑った。俺はその話しに衝撃が走った。
――完全にイカれてる。
もはや、そうとしか思えない。
奴がなんで余裕を持って言たのか、これでようやく分かった気がした。
奴はそれを知っていてあえて挑発してきたんだ。
最悪だ。
俺は始めからこの男に踊らされていたんだ。
それも何のその理由もわからず拐われた。
相手が誰だかもわからない。
捕まった俺はただのマヌケ野郎だ。
奴が電話越しでその事実を明かした時に、俺は大きな衝撃と共に脱力感と絶望感に襲われた。
「――悠真君。なんでも直ぐにゲームが終わると思ったら大間違いだ。私はキミが恐怖に怯える姿や、絶望感に打ちのめされた姿が見てて楽しいんだ。だからもっと、楽しませてくれ。いいだろ?」
奴はそう言いながらケラケラと笑っていた。俺はこの状況に頭の中がおかしくなりそうだった。
「今の話、はったりだとか思ってない? 携帯が圏外になったのは偶然だとか、思ってるだろ?」
「ッ…!」
「どうした? 答える気もならないか?、じゃあ、ウソかどうか試して見ようか。携帯画面をよく見てるんだ。わかったな?」
電話越しでその事を話すと通話ボタンを切った。 俺は絶望感に打ちのめされたまま、画面をジッと見た。
まさか……な。
勝手な都合で携帯電話が圏外にかわるなんて、有り得ない。アンテナが入りづらい場所や、どこかの山奥じゃない限り無理な話だ。画面をジッとみてると次の瞬間、箱の中が大きく揺れた。気をとられているとハッと気がついた時には携帯画面が圏外になっていた。俺はそれを目にするとゾッと寒気を感じて言葉を失った。まさかと思っていたが、そのまさかだった。奴が言ったとおりに携帯は圏外になってしまった。
「ッ!? 冗談だろ…――!?」
もうこれは冗談では済まされない状況だった。奴の『悪趣味』なゲームから、逃れる手段を失ったと言ってもいい。例え警察に電話をかけても、また途中で圏外になるのは確実だった。
まさに絶望的な状況とはこのことだ。俺の命はあいつに握られてるのも同然だ。生きて無事に帰れるか死んで帰れないか。もう選択肢は2つのどちらかだ。
悔しい。 正直やりきれない。
絶望感に打ちのめされた俺の心は、悔しさと怒りとやりきれない気持ちでいっぱいだった。そんな俺の気持ちもわからないのか、再び奴から電話がかかってきた――。
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