アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
『兄』
-
「叶多ってさあ…二重人格の俺が怖いんだろ?」
酸欠でクラクラしてきた時、遥がゆったりと囁いた。ぼんやりしていた俺は面前の光景にギクリとする。二人の間を伝う銀色の糸の意味も忘れた。
遥の目が、極寒になっていた。途端に俺の体がワザとかというほど震え出す。それに何故か遥は少し哀しげな顔をして、そして――――
「くっ、はは!ははは!ははははははははははははははははははははは!!」
狂ったように哄笑する遥に、俺は血色を失う。
心底逃げたいと思った。やっぱり遥はもう、俺の手には負えない。誰かの助けが必要だ。お互いの為にも。
遥は笑うのを瞬時に止めると、蒼白で硬直する俺を眇め見た。そして「まあね?確かに俺はそのケがあるよ?」と、幼児を諭すような根気強い口調で告げる。
「でもそれ、双子の自分もって可能性は考えなかった?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 76