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デートしようよ! 3
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「ここね、犬好きな人には喜ばれるみたいで。」
残酷なことを言う人だな。
「そうでしょうね。楽しみましょうね。」
このビルは犬のグッズが売っていたり、
犬自体も何頭か売られている。
でも僕は、ペットショップにいいイメージが無いので、
なかなか不愉快だ。
でも、島さんの新しい恋人のために頑張らないとな。
他にはアジリティの施設があり、自分の犬を遊ばせられる。
小さいがドッグランもある。
僕は1つ1つをしっかりと観察し、客観的な意見を
述べられるように頭の中で必死にまとめていた。
そんな時、
「ちょっとトイレに行ってきますね。」
そう言って島さんはトイレに行った。
僕はその間も周りのカップルを観察し、
女性がどういうものに喜んでいるかチェックしていた。
少しまとまってきた時、島さんがまだ戻ってこないことに
気付いた。
「あれ?」
キョロキョロと、島さんを探す。
「え〜!そうなんですかぁ〜。」
「うん、そうなんだよ。」
女性と話す声。
それは間違いなく島さんのものだった。
僕は急いで非常階段の側に身を隠す。
ここからは、2人の声も姿も確認できる。
向こうからは、見えにくい位置だ。
女性はフワフワしたパーマが印象的な、
とても可愛らしい女の子。
「じゃあ、今日は今から私と食事とかどうですかぁ?」
ドクン、ドクン、と脈打つ音が耳障りだ。
「うん、いいねぇ。ただ今日はちょっと連れがいてね。また、今度なら大丈夫かな。」
「え〜!ヤダー、今日行きましょうよぉ。」
女の子が島さんの腕に自分の腕を絡める。
悲しいことに、彼がそれを振り払う様子は無い。
「ね〜それなら連れの人も一緒には、どうですか?私も友達呼びますからぁ。」
「う〜ん、そうだねぇ。それならいいかなって、思っちゃうね!」
「うん、そうしよ〜!」
僕は非常階段に繋がる扉を開き、カン、カン、と一段ずつ
下る。
涙なんて出さない。
こんな場所では。
誰に会うか分からないし。
早くゼウスに会いたい。
早くこの場から立ち去らなければ。
ただただそう思って、歩を進めた。
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