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わからない気持ちと向けられる「好き」
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ほんとにただの風邪だったみたいで、次の日にはすっかり体調も良くなっていた
葵は朝からひたすらに「ほんとに大丈夫?無理しなくてもいいからね?」とかを俺に言ってきた
なにか心配してくれているんだろうけど……体調も良くなったし、学校行かないわけにもいかないし
それに、陽樹とは同じクラスじゃないから会うこと少ないだろうし
俺はいつも通り学校へ向かう
教室に着き、俺は休んで取っていなかった分のノートを仲いいやつに借りて写させてもらった
昼休み
用事で職員室に向かう
てか、なんで昼まで呼び出されなきゃいけないんだよ
朝のうちにまとめて渡せばよかったじゃん…
心の中で愚痴を言いながら向かう
職員室のドアの所に畝那らしき人物が立っていた
ちがったら怖いしな…話しかけるのはやめよう
その人物の横を通りすぎて、職員室に入ろうとした
「…あ、朔斗先輩だ〜」
間の抜けたような声に畝那本人だということは確かだった
「よっ」
「先輩、なんかやらかしました?」
へらへらと笑いながら畝那は言ってきた
「なんもしてねーよっ 休んでたからプリントもらいに来ただけ」
「先輩、休んでたんすか?」
「ちょっと風邪引いてな」
「そうだったんすね〜 うちの兄ちゃんも今日風邪引いて学校休んでるんですよ」
えっ……陽樹が風邪引いてる…?
…それって昨日俺の風邪がうつった……?
「…朔斗先輩?」
「……そう、なんだ」
「……朔斗先輩って…」
「お、九条遅かったな」
畝那は何か言いかけたが、それは先生によって遮られてしまった
「悪い畝那…またな」
「……はい、また」
俺は先生の後に付いて行き職員室に入った
……どうしよ…
職員室から教室に戻る途中、畝那が話してたことを思い出してずっと考えた
けど、俺が風邪うつしたようなもんだもんな…
やっぱお見舞い行ったほうがいいのか…?
「……おい、九条」
「………はぁ…」
「さ、朔っ」
けど、俺から嫌いって言ったし……会いにくい…
「…あー、くそー!!」
「おい、九条朔斗」
「あーもー、なんだよ!」
「…お前、大丈夫か?」
「え……あ、すみません…」
はず……なに一人で大声上げてんだよ…
「……朔斗、大丈夫?」
葵が心配そうな顔で俺に小声で話しかけてきた
「大丈夫。ちょっと考え事してただけだから」
「…そっか」
葵はそれ以上話しかけてくることはなかった
俺はその後の授業も、お見舞いに行くかでずっと悩んでろくに授業を聞いていなかった
放課後
「あ、朔斗」
「お、なに」
「今日、バスケやらね?」
小池からバスケ誘ってくるなんて珍しいな
いや、誘われたことは何回かあるけど……珍しくないか
……どうしよ…
断って、お見舞い行ったがいいかな
でも、終わってからお見舞い行ったらいいんじゃね?
そうだよ、よし。そうと決まればバスケ終わってから行こう。うん。
「朔斗?」
「バスケやる」
「よかった〜」
「葵も誘ってくるな」
葵も「……久々にしよう、かな」と言って二人でバスケ部に混ざることになった
「……あ、外れた…」
「葵、なんか考え事してただろー?」
葵は考え事をしながらシュートをすると必ず外す
まあ、あれだよな…嘘付ないタイプ
「ちょっとお茶飲んでくる」
「あ、俺も〜」
そう言えば……最近この二人よく一緒にいるよな…
付き合ってんのか?
いや、まさかな〜
こっそり、二人のあとをつけて部室をそーっと覗いてみる
俺の予感って、変なとこで当たるんだよな
「隙あり」
ちょうど、キスをしたとこを見てしまった
……最悪だ…
「ははっ、顔真っ赤」
俺は逃げた
もしかしたら音を立てて気づかれたかもしれない
けど、もうどうでもいい
苦しい
息がしづらい
この感情はなんだろ……
俺は…誰が好きなんだ……?
気づいたら外にいた
遠くからは野球部の声とボールを打つ音が聞こえる
「…先輩」
「っ……畝那、か」
振り向くと畝那が立っていた
全然気づかなかった
「どうしたんすか?」
「なんでもねーよ」
「誤魔化さないでくださいよ」
「…なにが」
「何年、朔斗先輩のこと見てきたと思ってんすか?」
「……は、え…?」
「俺、ずっと朔斗先輩のこと好きだったんすよ」
「……え、あ…えと……」
こんなときなんて返せばいいんだっけ……
「…朔斗先輩、好きです」
「っ……ありがと、な…」
「兄ちゃんのこと好きなんですか?」
「……………」
陽樹のことが好きなのか…
葵のことが好きなのか…
頭の中がごちゃごちゃしている
「俺のこと、考えといてください」
「……っ、畝那…」
「最近、ずっとそんな顔ばかりしてますよ…」
「……そうか…?」
「先輩」
「…ん?」
「好きです」
「…ん、ありがと」
同じくらいの身長なのに、畝那のほうが高く感じるな
…触れている部分から畝那の温もりが伝わってくる
俺って、ダメだな……
畝那の背中にそっと腕を回した
もう少しだけ……ごめんな…
結局、俺は陽樹の家には行かなかった。
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