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小さな幸せだけど大きな幸せ
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うぅ〜………腰が痛い…
朝、ベッドから起き上がるとズキッと鋭い痛みが腰に走った
「おはよ」
「ん…おはよ」
あのあと、けっきょく…………シて…とてつもなく腰が痛い……
なんか、悠の家きてヤらないことってないな
俺はベッドからテーブルの前まで移動してゆっくり座る
ボーッとしてたら朝ごはんがどんどんテーブルに運ばれてくる
「…大丈夫?」
座ってる俺の顔をのぞき込んでくる
「うん…大丈夫」
料理を全部運び終えた悠は腰を下ろしてテレビをつけた
アナウンサーの高い声が流れてきて俺たちはご飯を食べ始めた
「「いただきます」」
再来週から期末テストか〜…
俺、テスト勉強してないな……
「ケチャップ付いてる」
俺の口元に付いていたケチャップを指で取り、そのままそれを悠は舐める
そゆことなんで平気でするかな……
「……ありがと」
なんで俺が恥ずかしがらなきゃいけないんだよ……
「顔、赤い」
「ッ……悠が恥ずかしいことするからでしょ…」
「ケチャップ付ける方が悪い」
「な……!?」
「ほら、早く食べないと遅刻する」
そう言って、悠は再びご飯を食べ始めた
そういえば…悠って兄弟とかいないのかな……
家族の話とかあんまりしないから聞いたことなかったけど…
確か、親は離れたとこに暮らしてるって言ってたな
俺はご飯を食べ終わり、制服に着替えながら考えていた
そう考えると俺、悠のことあんまり知らないかもな…
好きな食べ物とか好きな音楽とか……
今まであんまり気にもとめてなかった
電車に乗り、俺はドアのところに凭れかかった
悠は俺の真横にいて俺を囲うようにして立っていた
ドア越しに外の景色を見ているとまた眠気が襲ってくる
俺は悠の方に凭れかかり、再びゆっくりと目を閉じた
悠の、心臓の音が聞こえる
ゆっくりとドクン、ドクンと鼓動を鳴らしている
なんだか、落ち着くな…
周りの音なんか一切消えてしまって、悠の心臓の鼓動だけが聞こえる
すると、頭をポンポンッと撫でられた
「…ね、悠」
「ん?」
悠にしか聞こえないくらいの声の大きさで悠に話しかける
「今日も、泊まり行っていい?」
俺は悠の顔を見ずに問いかけた
「いいよ」
「今日、ハヤシライス食べたい」
「じゃ、帰りスーパー寄ってかないとな」
「うん」
なんてこと無い会話
だけど、ただこれだけのことでも俺は嬉しい
悠の家に行けて、一緒に登下校して、スーパー行ったり、買い物行ったり
ごく普通のことを一緒にできることが嬉しい
付き合ってるんだなって、実感する
「…なに、ニヤけてんの?」
「……秘密」
なんだよそれっと悠は笑いながら返した
「おはよ、葵」
「おはよ、朔」
席に着き、朔と挨拶を交わした
「で、なんでお前がいんの…」
朔は俺の真後ろにいる人物を睨み呆れた口調で言った
「なんでって、一緒に登校して来たから」
この二人は相変わらず、仲が悪い…
悠は嫌ってるわけじゃないみたいだけど朔の方がね……
俺としては仲良くしてもらいたいんだけどな〜…
「葵との時間を邪魔するなよ」
「君にも恋人いるじゃん」
「葵は別なんだよ!!」
…………なんとも言えないな……
「九条ー、呼び出しー」
声のする方を見ると、教室のドアの所に女の子が少し俯き気味に立っていた
「あ、朔斗のほうだってー」
後付するようにクラスの男子が言った
朔は少し困ったような顔をしながら笑い、行ってくるっと言って席を立った
たぶん、告白だろうな…
朔は最近、告白をされるときあーゆー顔になる
わからなくもないんだけど…
「葵とおにーさんってほんと、似てるよね」
「そんなに似てる?」
「表情…とか」
似てる似てるとは言われ続けてきたけど、表情が似てるとか初めて言われた
俺としてはそこまで似てないと思うんだよね
そもそも二卵性だし、瓜ふたつとまでいかないと思う
赤ちゃんのときは見分けが付かないって母さんがよく言ってたけど、大きくなるにつれて性格も全然違うようになったし顔なんかも見分けが付くようになったらしい
小さい頃はよく朔がめんどう見てくれてたな〜
今もそう変わんないけど…
「…そんな顔されると妬けてくるな」
「………え、俺どんな顔してる?」
「にやけてる」
「ごめんごめん、昔のこと思い出してて」
「おにーさんって昔からあんな感じなの?」
「うん、俺は守られてばっかだったな〜」
「葵、弱そうだからね」
悠は楽しそうに笑いながらそう呟いた
俺は、返す言葉もなく机に項垂れた
すると、予鈴が鳴った
クラスにはほとんどの人が登校してきていた
「ねね、最近あそこの二人仲良いよね!」
「それ思った!いいな〜わたしも仲良くなりた〜い…」
少し遠くの席の方でクラスの女子が話してるのが耳に入ってきた
俺は声のする方をチラッと見るとその女子と目があってしまった
……俺たちのことだったんだ…
付き合ってからは一緒にご飯食べるようになったし、一緒に行動することも増えた
行動するときは、朔と一緒だからじしつ三人なんだけどよく朔は悠に噛みつくからな…
けど、そんなところも周りからは仲良く見えるのかな
……朔も本当に嫌ってるわけじゃなさそうだし、俺としては三人でいれることが嬉しい
「あ…じゃあまたあとでね」
担任の先生が来て、本鈴が鳴り悠は自分の席に戻っていった
それと同時に朔も教室に戻ってきた
そして、ホームルームが始まった
昼休み
「葵、飯くおー」
「うん」
弁当を出していると、悠も弁当を持って俺たちの席に来た
「あ、唐揚げ美味しそう」
「…ん」
「あ……ん、おいし」
「君たち、それわざとやってんの?」
「……あ、ついつい癖で…」
最初、なんのことだ?って思ったけどすぐに気づいた
考えると少し恥ずかしい……
小さい頃からよく朔からお菓子とか食べさせてもらってたから癖になってしまっていた
慣れって怖い……
「おにーさんは、恋人と食べなくていいの?」
「うるさい…お前に関係ないだろ」
そういえば、たまに陽樹と食べるって言ってどこかに行ってけど……毎日一緒に食べてるわけでもなさそうだし…
「そんな顔するなよ…別に喧嘩したわけじゃないから。なんていうか…あいつも同じクラスにバスケ部の友達とかがいるからそいつらとご飯食べてるし邪魔したら悪いだろ?だから、一緒に食べてねーの」
「…そっか」
「ま、たまに一緒に食べるくらいで俺は充分」
朔はそう言って、ニヒッと眩しいくらいの笑顔を俺に向けた
けど、少し心配だな…
ほんとは毎日一緒に食べたいんじゃないの、かな…
「……ん、あーん」
「ッ…あ……ん、まあまあだな」
今度は俺から朔に卵焼きをあげた
悠がいつも弁当を作ってくれるから、それが朔は気に食わないのかいつもこんな感じに素直じゃない
悠も特に気にしてない感じだった
「二人って昔からこんな仲良いの?」
突然の質問に俺と朔はお互いに顔を見合わせていた
「喧嘩したことあったっけ?」
「ない………かもね」
幼稚園の頃、俺はよく朔の後ろに隠れていた
なにをするにも朔の後ろを付いて歩いていた
小学校に上がってもそれはあんまり変わらなかった
小学校はいろんなところから集まっていたからとても人数が多かった
けど、奇跡的にクラスが離れることは6年間で一度もなかった
中学
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