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言わなきゃいけないこと
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学校に着くと、悠はすぐに女子に囲まれて俺は離れてしまった
やっぱ…モテるよな……
少しへこみつつ、自分の席に着く
少し経って、朔斗も登校してきた
「……葵」
「あ、おはよ朔斗」
「…おはよ」
「……?…どうかした?」
「……なんかあったんじゃねーの?」
双子の勘というのかもしれない
こういう時は嘘をついても朔斗には見破られてしまう…
「……今日は家帰るから…家で話すね」
「……わかった」
学校で話せるような内容じゃないし、俺も学校では話したくなかった
それからHRが始まって、授業を受けた
昼休み
今日は悠がお弁当を作ってくれたから、それをありがたく頂いている
朔斗と他愛ないことを話しながらお弁当を食べていると、クラスの数人の女子が話しかけてきた
「葵くんのお弁当おいしそ?!」
「…ありがと…けど、俺が作ったんじゃないから…」
俺が作ったのじゃないけど、自分のことのように褒められて嬉しかった
……なんか照れくさいな…
「そうなの?…じゃあ、彼女さんとか?」
「彼女ではないかな…」
うん……彼女ではない………好きな人なだけで…
嘘はついてない……
「そうなんだ!じゃあ、今度私お弁当作ってくるよ!」
「…え、いやでも…そんな悪いし……」
「いいのいいの!」
「じゃあ、私朔斗くんに作ってくるね!」
「…俺もいいよ」
「そんなこと言わないで、ね?」
「「…………」」
んー……っと困ったように俺は朔斗の方を向いた
朔斗も同じことを考えてたらしく、こちらを向いていた
お互い顔を見合わせて、意を決し女の子たちに話しかける
「…ごめんね、気持ちは嬉しいんだけど……また今度作ってくれる?」
「俺も、また今度作って……な?」
女の子たちは、わかったと言ってくれた
いつも今度という言葉を使って俺たちは逃げている
実際作ってくれるのは嬉しいし、好意で彼女たちもしてくれようとしてるんだなってわかる
けど、俺は彼女とかつくる気ないし……
期待させといて…っていうのも申し訳ないからこういうことはなるべく避けている
けど、悠は来るもの拒まずって感じだからちょっと妬ける……
本当の彼氏?じゃないからそんなこと言えないけど……
昼休みも終わり、午後の授業を受ける
休んでた分のノート見せてもらわないとな……
午後の授業も終え、学校も終わった
「葵、帰ろ」
「うんっ」
「……あ、葵ばいばい」
「あ、うん…ばいばい」
悠とすれちがい、俺に話しかけてきた
悠から学校で話しかけてくるのはあんまりないから、少し嬉しくて自然と頬が緩む
それから俺たちは電車に乗って、家の最寄り駅で降りそこから近くのスーパーに行った
母さんから帰りおつかいを頼まれたらしく、朔斗はスマホを見ながら何を買うか確認していく
俺はカートを押して朔斗の隣を歩いた
「………ッ、葵くん……?」
「……え?」
名前を呼ばれて振り返ると……結衣がいた…
久々に見る結衣は少し大人になっていて、髪型はあまり変わっておらず、身長も中学の時と全く変わってなかった
てか、なんでここに……この辺の学校じゃないし、家も近くじゃないのに…
見かけることはあってもは話しかけられたのは初めてで、変に戸惑ってしまう
話すの中学の時以来だな…
「……久しぶり…元気、だった?」
「………うん、元気だよ……結衣は?」
「…私も元気、だよ」
「葵、行こ」
「…ぅ、わっ」
結衣と俺はしばらく黙って、お互いなにも話さなかったら朔斗が俺の腕を引っ張る
「っ、待って!葵くん!」
「…ッ……朔斗…」
「……ちょっとだけだからな」
「……うん」
朔斗は止まって、少し考えて答えてくれた
結衣と付き合い始めた頃から朔斗は結衣のことを、嫌って…いた……
俺としては仲良くしてくれたらなっと思っていたけど、無理強いはしたくないから…なにも言わなかった
今もそれは変わってなかった
「……ごめんね…あの、ゆっくり話したいから明日駅前のカフェで話せるかな、?」
「…うん、わかった」
「時間とかはLINEで送るね」
「うん」
「じゃあ、また…」
「…また」
それだけ言うと結衣は行ってしまった
俺も話さなくちゃいけないことがある
ちゃんと、悠のこと…好きな人ができたことを言わないと……
「……葵、行こ」
「うんっ」
母さんから頼まれたものを全て買い、家に帰った
家に帰ると、買い物したものを母さんに渡し朔斗は俺の腕を引っ張り部屋へ連れて行かれた
「…朔斗っ、そんなに急がなくても……」
「…………」
朔斗は無言で腕を引っ張る
俺も、なにも言わなかったから余計……心配かけちゃったのかもな…
「……この前、なんで電話でなかったの…なんでLINE返さないの」
「LINE返さなかったのは、ごめん…電話は……」
言葉に詰まる……言わなきゃいけないけど…なかなか声が出ない…
…朔斗は引いたり、拒絶したりしないってわかってる…わかってる…けど……怖い…
「……ごめん…強く、言い過ぎた」
「…っ………」
声にならなかったから首を横に振る
「ごめん、葵……」
「…さく、と……ッ…ぅっ…」
朔斗は抱き締めて、謝ってきた
朔斗は悪くない……悪くない…なんで、涙が出てくんだよ……っ…
俺は……朔斗にしがみついて、けっこうな時間泣いた
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