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避ける日々
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着いたのは中庭だった
「……朔斗、ありがと…」
「…ん……飯、食べよ」
「…うん」
朔斗、ご飯食べるの待っててくれたんだ…
今まで気づかなかったけど…朔斗は片手に俺の弁当と朔斗の弁当を持っていた
「ありがと…待っててくれて……」
「おうっ…だって俺、葵と食べたかったし」
ニヒッと眩しいくらいにきらきらした笑顔で返されて、朔斗の優しさが改めて身にしみた
朔斗の笑顔を見ると自然に俺まで笑顔になる
さっきまで辛かったのに……不思議と心が楽になった
あんなに泣いてたのに、涙はもう乾いていた
「……葵」
「…ッ……ごめん、急いでるから…」
5限目が終わった休み時間に悠は話しかけてきた
……けど…目を逸らして、嘘をついて避けてしまった……
それからも、6限目が終わった後、掃除の時間、放課後……
悠は俺に話しかけようとしていた
俺は……隠れたり、逃げたり…最低なくらい避けていた
……今は話したくない………
もういい……もういいんだよ…
俺は自分に言い聞かせるように、心の中で繰り返した
……諦めよう…
好きが大きくなればなるほど自分が苦しくなるだけだ……
部屋で本を読んでいると、スマホが鳴った
それは…悠からのLINEだった
『話したい』
一言、そう送られてきた
……俺は無視した
誰にでもこんなことするんだ、俺もその一人……
「…………好きだよ……」
誰もいない部屋に一人、そう呟いた
それから数日くらいずっと悠のことを避けた
田村くんも悠が俺に話しかけようとするとそれを邪魔するかのように悠にくっついていた
けど、ある日の昼休み
俺は担任に雑用を頼まれ職員室にプリントを持って行った
朔斗は、陽樹が来てなんか話があるとか言ってどっか行ってしまった
そして、職員室から教室に戻っていたら強い力でグイッと横から腕を引っ張られた
「…ぅ、わっ………ゆ、悠…」
「…シーッ」
誰かと思って見てみると……悠だった
「ちょっ……離し、て…ッ……」
「…黙ってて」
悠はどんどん歩いてどこかへ向かっていた
こんなとこ田村くんに見られたら……
頑張って悠の腕を振り払おうとしてはみたものの………まったく振り払えず、掴まれてる力は増すばかりだった
着いた場所は空き教室
入ると、すぐに鍵を閉められた
「……なんで、避けてるの」
少し、強い口調で悠は呟いた
……避けてなんかない、なんて言えない…
俺の態度は明らかに避けてる……
「…聞いてる、葵」
俺は悠と目を合わせず、目線だけをただ泳がせていた
すると、だんだん悠がこちらに近づいてくるのがわかる
どうしよ……
俺は焦って思わず後退りをした
けど、しばらくするとトン…と壁に背中が当たった
「………葵、ちゃんと俺の目見て」
頬に手を添えられる
頭ではダメって思ってるのに…体は言うことをきかなくて、俺は顔を上げてしまった
「やっと……ちゃんと俺の目、見てくれたね」
悠は優しく微笑んだ
これだけ、俺の心臓はドクドクッと動きを加速する
こんなイケメンで……ズルい…
「…葵……キス、してい?」
「…ッ………ちょっ…まっ…」
待ってと言おうとしたら、もうキスをされていた
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