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精一杯の告白
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いよいよ週末も明けて中間テストが始まった
週末、絋とのことがあっていろいろ考えた
テストが終わってから絋と話そう、そう決めた
あっという間にテストは終わった
こういうときって、時間過ぎるの早いな…
テスト期間っていうのもあったからかな
そんなことを考えていると、絋が立ち止まった
「…で、話って?」
「俺と絋はずっと、友達だから…」
「…ん?」
「……別れて、ほしい…」
「…ッ……」
「ごめん……」
「……そっか〜…けっこういけると思ったんだけどな…」
「…ごめん……」
「葵は謝らなくていいよ…俺が気持ち利用していいって言ったんだからさ」
それでも……やっぱり、申し訳ない…
「好きになろうと努力してくれてたんだから、俺はそれだけで十分。ありがとな」
俺なんか…お礼を言われるようなことはしてない……
絋はどこまで優しいんだよ…
「……深瀬とうまくいくといいな」
「…ありがと」
「まぁ、隙があれば俺は葵にどんどんアピルからな!」
「うん、ありがと」
「……また、バスケしような」
「うん……遊びに行く」
「じゃ、最後に…」
「ん?……ッ…」
「じゃ、俺部活行くわ!また、月曜日なー!」
絋は額に、ちゅっと触れるだけのキスをして颯爽と去っていった
ごめん、絋……
けど…絋のおかげで、悠とちゃんと話す決心ができた
避けないでちゃんと話して、気持ち伝えよう
そう思いながら俺は教室に戻った
「葵、どこ行ってたんだよ」
「ごめん…ちょっと絋と話してて」
「…そっか」
教室に戻ると、朔斗が待ってくれていた
駅までの道のり、朔斗と何気ない会話をしながら歩く
朔斗にもちゃんと話さないといけないと思った
「……朔斗」
「…ん?」
「……あの、俺…」
「うん」
「………悠のことが、好き…だから、絋とも別れた……」
「……そっか」
「…うん」
「…あんまり深瀬はおすすめしないけど……好きなんだろ?」
「うん」
「そっか」
「…告白、しようと思う」
「……頑張れよ」
「…ありがとっ」
応援してくれる
ほんとはちがうかもしれない
けど、俺はその言葉だけで嬉しかった
日曜日の夜、俺は悠にメッセージを送った
『悠、今までメール無視したり避けたりしてごめん。
話したいから明日の昼休み、音楽室で待ってる』
それだけ送って俺は眠りについた
昼休み
午前中の授業が妙に長く感じた
早く昼休みになれと思えば思うほど、時間が過ぎるのが遅く感じた
急いで昼ごはんを食べて、音楽室に向かった
悠はまだ音楽室には来ていなかった
しばらくすると、足音が聞こえてきた
その足音は音楽室のドアの前でピタッと止まり、音楽室のドアが開いた
「…悠……」
そこには高身長でミルクティー色の髪の色をした、紛れもない悠が立っていた
「いきなりLINEきたからびっくりした」
「…無視しててごめん」
「ん、許す」
「避けもして……ごめん」
「正直、傷ついた」
「…ごめん……」
「ん、許す」
「……俺、悠に話したいことがあって…」
「うん、なに?」
「……ッ、あの…」
「うん」
続きがうまく言葉にできない
好き、それを伝えたいのに声が出ない
「…俺……俺ッ…」
「やっと見つけた〜♪ もぉ、いっぱい探したんだよ〜?」
目の前の光景に息が詰まった
田村くん、が悠の腕に自分の腕を絡めていた
ど…しよ……あれ、俺なに言おうとしてたんだっけ…
だんだんと顔が下を向く
伝えたかったことが、あったのに……俺は臆病だ…
「…ね、見てわからない?」
「え?」
「俺、今葵と話してたんだけど」
「で、でも…」
「出てけよ」
「…ッ………」
「…聞こえなかった?……出てけよ」
今までに聞いたことないような低い声でそう言った
「は、はぃ……」
田村くんは声を震わせながら返事をして音楽室を出て行った
「…葵」
ビクッと体が反応してしまった
「こっち向いて」
俺はゆっくり、顔を上げて悠と目を合わせた
「さっきの続き、話して?」
「……ッ、でも…」
「…葵」
「………」
「話して?」
「……俺…」
「うん」
「俺……悠のことが…好き……」
「…………」
「…けど、保健室で悠と田村くんがキスするの…見ちゃって……ぅっ…田村くんが……エッチしたとき、に悠から、かわいいって…好きって言われたって……グズッ…」
途中、涙が溢れてきてなかなか言葉が出てこなかった
それでも精一杯言葉を紡いだ
「…俺、好きって……言われたことなかった、から…グズッ…俺のこと好きじゃないのかなって……俺じゃなくて誰でも、いいのかなって…思って……避けて…ごめん…」
言い終わる頃には、俺は悠の腕の中にいた
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