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俺ってしつこいな〜…
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休日が明けて、月曜日がきた
葵は朝から頭痛が酷いらしく、具合が悪そうだった
休んだら?っと聞いたけど、大丈夫と言って今電車の中で俺の肩に寄りかかり眠っている
額に手を当て、次に首に手を当てて熱がないか確かめるけど……少し、高いかもな…
電車内に次の駅のアナウンスが流れる
「…葵……葵、もうすぐ着くよ」
「………ん、ん…」
電車を降りて、学校までの道のりを歩く
葵はふらふらになりながら歩いていた
…そんなにキツイなら休めばよかったのに……無理しても意味ないじゃん
そう思ってはいたけど、言えなかった
…葵はキツイのに嬉しそうな顔をしてたから
深瀬に会えるのがそんなに嬉しいのかよ……
やっとの思いで学校に着いた
教室に入ると葵はきょろきょろして教室中を見ていた
けど、お目当ての人物はいなかったみたいだった
2時限目が終わった休み時間、葵は少し顔が赤くなっていた
「…朔…俺、保健室行ってくる…」
「ついていこうか?」
「…大丈夫……ありがと…」
「…そか、わかった」
4時限目が終わっても葵は帰ってこなかったから、弁当を持って保健室に向かった
「葵ー?」
俺は保健室に入って、葵の名前を呼んだ
そして、ベッドのカーテンを開けてベッドに座りまたカーテンを閉めた
「……んっ…朔…」
「具合どっ?」
「うん…なんとか……」
「そか…ご飯持ってきた」
「……ありがと…」
「…………」
「…ん?…さ、さく?」
…目腫れてる…泣いた、のか
葵の頬に手を添えて、親指で優しく涙袋を撫でる
「……泣いた?」
「…え……」
じっと葵を見つめた
「……泣いてない…」
葵は一瞬、左下に視線を向けたかと思ったらすぐに俺の顔を見てそう答えた
葵が嘘をつくときの癖
たぶん、自分では気づいてない
俺も葵にその癖のことを言ったことはない
「…嘘つくようなこと?」
「……ッ……」
「…別に責めないよ」
2限目よりかは顔の赤みが少し引いていたけど、まだ少し赤かった
なんか、葵弱ってるな
俺はちゅっと涙袋にキスを落とした
「…ご飯食べよ」
「…ん」
それから俺たちは昼ごはんを食べて、昼休みが終わる頃に教室に戻った
葵も大丈夫と言って一緒に教室に戻った
けど、葵には朝のような嬉しそうな表情は何一つなかった
午後の授業も終わり、帰りのホームも終わった
「葵、ちょっと職員室寄っていい?」
「うん、大丈夫」
「先に下駄箱行ってて」
「ん、わかった」
俺は職員室に提出物を出しに行った
「失礼しましたー」
「朔斗先輩だ〜」
職員室から出て下駄箱に向かおうとしたら、聞き慣れない声で名前を呼ばれた
「おぉ、畝那じゃん……なに、なんかやらかしたの?」
「違いますよ〜!提出物出しにきたんすよ〜…先輩こそなにかやらかしたんじゃないんすか?」
「ちげーよ、俺も提出物だよ!」
「ですよね〜先輩バスケ部入ってくださいよ」
バスケ部ね〜
まぁ、楽しいけど…葵入らなそうだし、葵がいないと楽しくないし
俺は適当な理由でいつものように軽く流した
「忙しいからむーり」
「言うと思いました…じゃ、今度遊びに来てくださいよ?」
「はいはい…じゃ、またな」
「適当とか酷いですよ〜……あ、うちにも遊び来てくださいね〜」
「りょーかーい」
俺は下駄箱に急いだ
ちょっと遅くなっちゃったな…
「遅くなってごめんっ……て、葵?」
葵は俯いていた
「…え、あ…うん、大丈夫…」
いや、大丈夫って顔してないだろ…
「……どしたの」
「…え?なにが?」
「泣きそうな顔してる」
「…ッ……か、帰ろっ」
「ッ、ちょ葵っ!」
葵は上履きと靴を急いで履き替えて、早足で歩いた
「葵、ちょっと待て……葵ってば!」
俺は少し大きめな声で葵に言った
「……ごめん…」
「…また、深瀬?」
「…………」
「………俺じゃ、だめ?」
「ッ…………」
「俺だったら葵にそんな顔絶対させない…絶対に泣かせない……だから…俺じゃだめ、?」
「……朔斗、気持ちは嬉しい……けど、俺たち兄弟だよ?…その一線は越えちゃいけないよ……」
俺ってしつこいな〜…
それに兄弟でだめだって、そんなのわかってる…わかってる……けど…
「……ッ、葵……」
「好きになってくれたのは嬉しいよ…けど、ごめんね…」
「……優しくするなよ…」
「…ん、ごめん」
「……俺はすぐに気持ち切り替えられるほど大人じゃないからな…」
俺って小さいな……
これじゃ、ただ葵困らせてるだけじゃん…
「……うん…」
「……ん…」
「…帰ろっか」
「おう…」
お互いなにも喋らず、帰った
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