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胸の苦しみ
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目が覚めると、保健室のベッドで寝ていた
服やベスト、ネクタイもちゃんと直されていた
…陽樹の姿はなかった
起き上がろうとすると腰に激しい痛みが走る
「いッ…つ……」
今、何時だ…
時計を見ると、4時を回っていた
…もう放課後か
とりあえず、教室に行かないとだな
俺はゆっくり教室までの道のりを歩いた
立ってるだけでも腰がズキズキと痛む
…あんなん、ほんとに入るんだな……
あいにBL漫画をよく読ませられていたから、男同士どうやってするのかは知っていた
さすがに、経験はなかったけど…
それに俺は入れられる方じゃなくて入れる方って思ってたし……
「朔斗…保健室にいてよかったのに」
教室に入ると葵が俺の分の鞄と自分の鞄を持って立っていた
「体調悪いの気づかなくてごめんな…大丈夫?」
「え、あ……まぁ、うん…大丈夫」
体調は悪くないけど、腰は痛いな…
「…腰、痛いの?」
「……ん、まぁ少し…」
「歩いて帰れる?」
「…頑張る」
「母さんか父さんに迎え来てもらえるけど…」
「大丈夫…帰ろ」
「…うん」
ゆっくり、歩きながら家に帰った
…けっきょく、陽樹がなんで怒ってたかわかんなかったな
なんかシてるときに言ってたような気がするけど……あんなのシてるときに答えられるかよ…
俺も避けてたし、そのことはちゃんと謝らないとだよな
そのとき聞けばいいか
俺は呑気にそう考えていた
次の日になっても腰の痛みは治まらなかった
昨日よりかはだいぶましにはなったけど…
そう思いながら腰を擦る
「腰、まだ痛い?」
「…昨日よりかはましになった」
「そっか…」
「…ありがとな」
葵の頭を撫でる
葵は「…ん」と言って安心したような、ほっとしたような表情をしていた
俺って葵には弱いな〜
電車から降りて、学校までの道を歩く
あぁー…腰が……死にそ…
誰か担いで教室まで連れてってくれないかな…
……なーんてなっ
校門まで来たところで、前に見覚えのある後ろ姿が目に入った
……あれって、陽樹だよな…
「…あれ、陽樹じゃない?」
俺が思っていたことを葵が言った
「……だな」
今は葵もいるし……謝れない、よな…
俺は自分に納得のいくように言い訳をして逃げていた
頭では言い訳して逃げるなって、ちゃんと陽樹に謝れらないといけないってわかってるのに……
やっぱ、いざとなると…昨日のこともあって顔が合わせづらい…
俺は陽樹の姿を目で追っていくだけで終わった
葵もなにか察してくれたのか、陽樹には声を掛けずにいてくれた
昼休みになり、俺は早々に弁当を食べて陽樹の教室に行った
教室のドアからそーっと陽樹を探す
けど、教室に陽樹の姿はなかった
「誰かに用事?」
「…え、あ、陽樹…中川陽樹いる?」
「あぁ、陽樹なら眠いって言って保健室行ったよ」
「ありがと」
「いえいえ〜」
陽樹の友達であろうやつから話しかけられて教えてもらえた
話しかけてきてくれたのが陽樹の友達でよかった…
俺は保健室へと向かった
ガラガラッと音を立てながら扉を開く
保健室の独特の匂いがすぐに香ってくる
先生はおらず、ベッドはカーテンが閉まっていた
恐る恐る、カーテンの隙間から寝ている人物を確かめる
…いた
そこには陽樹が気持ちよさそうに寝息を立てて寝ていた
カーテンの中に入り、再びカーテンを閉める
俺はそっとベッドに座った
「……なぁ、」
俺は寝ていて返事をしない陽樹に話しかけた
「なんで昨日、怒ってたの…」
そんなことを聞いても、寝ているから返事は返ってこない
俺は陽樹が怒ってた理由がどうしてもわからなかった
「…避けて、ごめん」
……って、聞いてないよな…
「………起きろよ…ばか」
ばかとか……ガキかよ俺…
こうなったら、陽樹が起きるまでここに居てやる
近くにあった椅子を持ってきて座り、壁によりかかった
「…と………さ……と…さく…と…」
「……ん…」
誰だよ……あれ、そういや俺…なにしてたんだっけ
確か…陽樹の教室に行って……保健室にいるって聞いて、保健室行って…陽樹寝てて…
まだ意識が覚醒しないまま俺は何をしていたか思い出していた
誰かが俺の名前を呼んでいる
でも…まだ、起きたくないなー…
「朔斗…朔斗〜…おーい…」
「…ん〜……うるさ…い……」
「………起きないとキス、するよ」
「……ん…」
「ほんとにするからな」
「……………」
「……はぁ…」
キス……キス……
「…あ、起きた…おはよ」
「……………」
「もう5限目始まってる」
俺、そんな寝てたんだ……
……1時間くらい寝てたのか…
「……陽樹…」
「ん?なに?」
陽樹は俺に背を向けたまま返した
……こっち向けよ…
「…昨日、な」
「昨日のことは……忘れて」
「………は?…え?」
「なし。ノーカウント…無理やり抱いて悪かった」
……なんだよ、それ…
なし…?ノーカウント…?…は?
「……な………れ」
「……?…なんか言ったか?」
「……なんだよそれ」
あー…声が震える……くそ…ッ
「…朔斗も……ッ………」
陽樹がこっちを見たのがわかった
俺は顔を上げずに下を向いたまま言った
「…もう、お前とは…友達にも、戻れない…」
「さくと…ッ、?」
「どうせノーカウントなんだろ?なし、なんだろ?…俺の気持ち弄んで、楽しいかよ…最初から……俺のことなんて好きじゃなかったんだろ…」
自分で言ってて、胸が痛い…苦しい
なんだよこれ
「何言って」
「もう陽樹に近づかねーし…話しかけねーから……安心しろよ…」
「ッ…さく」
「俺に話しかけるな!!」
「ッ……」
怒鳴りつけて、俺は保健室から出た
てか、抱かれたの嫌だったんだから忘れろって言われてよかったじゃん
なんで…なんで、こんな……胸が苦しいんだよ…ッ!!
「…なんで……涙なんて…流れてくるんだよ…くそッ…!」
俺は誰もいない屋上へ続く階段で隠れて泣いた
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