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-本当は。
本当はいつも、泣いてしまいたかった。
泣きついて、縋り付いて、
「どうして?」って。
そう聞いてしまいたかった。
だけど。
もう、それだけの勇気はないんだ、
希望だって、ない。
最初はぶざまに泣きわめいて、「もうしない」に安心した。
今は、もう、…。
「いつかはやめてくれる」が、「まだがんばれる」になったのはいつ頃だったんだろう。
それがいつの間にか、
「いつ捨てられるか」に変わっていて。
あのドアの向こう側、
俺が名前も知らない女と躯を繋げている彼を、
俺はたしかに愛していた。
でも、
「もう終わり、」
俺は、お前を忘れます。
『雪。』
そっと囁くように俺を呼ぶあの甘い声も、
笑ったときの大好きなあの目も、
『愛してる』って言葉も。
比喩でもなんでもなく、
俺は、忘れることにします。
お前のことを好きな気持ちごと、
"お前自体"、全部を。
プロローグ 終
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