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5 (彰)
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「よし、」
考えていても、変わらない。
俺は、冷蔵庫に入っていたフルーツなどで適当に朝食をすませ、時間は少し早いけれど、学校に向かうことにした
のだけれど。
「…、」
一体、何だこの状況は。
「生徒会長、僕の話聞いてましたか?」
寮を出て、校舎への道を歩いていたときに呼び止められたのだ。
睫毛をあげ、唇を人工的にぷるぷるとさせた少年が3人ほど、俺の前に立ち。
その後ろにも10人近くの、そちらは少し体格がいい感じの男たちが俺の行く道を塞いでいて。
「えっと…、」
「やっぱり聞いてなかったんですか!もう!」
少年は、"ぷんすか!"という形容詞が似合いそうな怒り方で、俺の袖口を引っ張る。
「もう一度聞きますけど、姫とのご関係は?」
「…ひめ?」
姫とは一体なんのことだ?
「もしかして、ご存知ないんですか?
生徒会長なのに?"園田"なのに?」
この学校は"園田"が経営していて、理事長は俺の兄貴。
たしか、去年までは俺の従兄弟が生徒会長だったが卒業してしまった。
別にそういった拘束はないけれど、暗黙の了解で生徒会長は園田家の人間がやることになっていて。
「雪さまですよ、真中 雪さま。」
「ゆき…?」
雪が、"姫"?
「あの方は、みんなの憧れなんです、」
綺麗で、優しくて、いつもにこやかに笑っていて。と彼は続ける。
「最初、あの方がこの学校に来たときには、
反発する人たちもいて。」
「例えば僕らだけどね。」
「うっ、うるさい!それは今いいの!」
…中心となる人物の言葉に、後ろのひとりがちゃちゃをいれたので、彼は真っ赤になってまた"ぷんすか!"と怒る。
「とっ、とにかくっ!
最初は、高等部から入って来たくせに姫とか呼ばれるなんて、みたいな反発があったのですよ、
でも、雪さまの優れた容姿と人格に、惹かれていくひとが多くなっていったのです!」
「へぇ。」
思ったより、冷めた声が出た。
俺の知らない、雪。
「…だから、生徒会長とのご関係を知りたいのです、僕たちはっ!」
…、
「言わないよ、」
俺の気持ちを一番に伝える相手は、雪だから。
「!僕たちは雪さまの親衛隊として知る権利が「でも、」」
俺の言葉が気に入らなかったのだろう、キャンキャンと吠える3人組、
そして空気の変わる、後ろの体格男たち。
それらの雰囲気を断ち切るように、言った。
「でも、
直にわかるよ。
あの子を連れ戻しに来たんだから、俺は」
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