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7 (彰)
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「おはよう。」
「「「おはようございますっ」」」
教室に入るともう既にちらほらと人が来ていて、挨拶をし返してくれる。
「会長、昨日よかったですよ!」
「昨日…?」
「任命式で、意気込み話したじゃないですか!」
…あぁ。雪のことがショックで放心しすぎて、
俺は促されるままそんなものを喋ったのも頭になかった。
あらかじめ用意していた紙を見て読んだから、特に困ることもなく。
雪と会えるのは、今日だと思っていたし、まさか、あんなに雪が崇められているなんて知らなくて。
雪に伝えようと思っていた気持ちも、頭が真っ白で言葉にならなかった。
……もし言葉にできたとしても、あの状況では無意味だったかもしれないけれど。
…あぁ、人付き合いが苦手な、不器用すぎる彼は一体どこにいったのだろう。
もしかしたら別人かも、そんな馬鹿げたことが頭に浮かぶほど、彼は1年前とは全く違っていた。
「ありがとう。」
俺は荷物を置きながら、彼に尋ねた。
「そういえば、雪はどこにいるか知らない?」
「雪…、ってもしかしなくても姫さまのことですか?」
そうそう。…まあ、絶対に俺は、姫だなんて呼ばないけどね。
「んー、まだ自室にいらっしゃるか…
あとは生徒会室かな。」
「生徒会室…」
「姫さまは生徒会の補佐ですからね」
「…去年から?」
「はい、夏休み明けくらいかな?」
補佐、ねえ?
「一体何をやるの?」
この学校のことは、兄貴にもらったパンフで大体理解したつもりだったけど…、生徒会に補佐がいることとか、こんな風に生徒たちの憧れの的だとか、
そういったことは書かれていなかった。
つまり、異例なんだろうか。…まあ、なんでもいいけど。
「生徒会内部の話はよくわかりませんが、
生徒会長や副会長のお手伝いが主みたいですよ。」
「ふぅん?」
会長の補佐、か。悪くない。
「去年雪さまは、副会長の専属に近かったみたいです。」
もう一人の姫さまは、ほとんど会長のお手伝いで。とクラスメイト。
「雪さまと副会長、それはそれは綺麗なお二人なので…、」
うっとりとしたような声で、クラスメイトは続けた。
「理想のカップルでした。」
…は?
「カップル…?」
「親衛隊は、"そんな事実はない"と発表していましたが…」
あぁ、聞きたくない。
俺の知らないところで雪が、
「僕からすれば、二人の間には深い絆があるようにしか見えません。」
誰かの隣で笑っていたなんて。
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