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8 (彰)
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「…」
知らない。
俺の知らない…、ゆき…。
「…会長?」
「……何かな?」
「…いえ、急に黙ってしまったのでどうしたのかと…、」
「あぁ、ごめんね?ちょっと、頭が痛くなってしまって。」
「大丈夫ですか?」
大丈夫じゃないさ、雪のことを考えると、これからのことを考えると、頭がずきずきと痛むんだよ。どうしようもなく。
「あぁ、こんなことに負けていられないからね。」
そう、負けられない。
副会長?
どんな奴だか知らないが、俺には雪しかいないんだ。
渡せない。渡せるはずがない。
雪。
会いたい。ものすごく、会いたい。
あのはにかむような笑顔で、
前みたいに笑ってよ。
そしたら俺は、もう君を離したりしないのに。
雪。
最後に会ったのがいつだったのか、
最後に君があの部屋に帰って来たのがいつだったのか、
最後に君が俺の大好きな笑顔で笑ったのがいつだったのか、
俺はちゃんと思い出せないよ。
『あきら。』
甘い声で俺を呼んだのがいつだったのか、
『好きだよ。』
俺は思い出すことが出来ないんだ。
第三章 終
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