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===第4章===
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物理的に逃げてみたって、
捕まったら終わり。
そしたらきっと、俺は繰り返してしまう。
だからそういうときはね、
消えちゃえばいいんだよ。
消しちゃえば、いいんだ。
苦しいと叫ぶのが心なら、
僕は心を消してしまいます。
痛みを感じるような記憶なら、
僕は記憶を消してしまいます。
それらを消したら"俺"じゃなくても、
それでも"僕"は、消すことを選ぶのです。
==雪side==
「え?」
「だから、話があるんだ。」
生徒会室から出たところで話し掛けて来たのは、園田彰。
「えっと、ではここで…」
「二人きりになりたい。」
彼はそう言って、隣に立つ蘭をじろり、と見た。
邪魔だ。といいたげな目で。
俺と蘭は、取りに行かないといけないプリントがあったため、生徒会室に来たところで。
「うげぇ」と思わず嫌な顔をしてしまい、
下品な声出さないの!と笑われながら、
「だって何この量…」とげっそりした顔をしてしまうくらいの大量の書類たちを指差す。
「生徒会補佐」だなんて聞こえはいいけれど、
実際は雑用の嵐だ。
というか生徒会自体が、雑用係と呼んでもおかしくないような役職。
それの補佐だなんて言ったら、
その細々とした仕事内容はだいたい想像していただけるんではないかと思う。
俺はこの1年間、副会長の補佐がほとんどだったわけなんだけど、
彼はとても仕事のできるひとみたいで、比較的楽だった。
「そんな仕事、雪さんはしなくていいんですよ。」とふうわり笑って、
テキパキとその仕事を片付けてしまうようなひとで。
「いえ、そんな申し訳ないことできません」と言いながらも、内心ガッツポーズしながらこっそり手を抜いた。
もちろん、わからないくらいほんの少し。
…蘭にはすぐにバレたのだけれど。
ちなみに、1年の最初から生徒会の仕事をやっていたわけではない。
よくわからないけど、急に生徒会からの通達が来て。
その時にはもう、"姫s"という忌ま忌ましい呼び方はみんなに定着していたし、
そのせいで一部からの嫌がらせやら呼び出しやらが絶えなくて、
生徒会に入ればそういったことは軽減できるかなって二人で話し合って決めたのだ。
更に言えば、可愛いランキングなるものが行われているのも生徒会に入った後知ったこと。
生徒会任命式のときにそれを知らされて、白目をむきそうになったことを覚えてる。
表彰式に出て欲しい、と言われたときは咄嗟に断った。
しかし。
「辞退させていただき「食堂タダになりますよ」…なんでもないです。」
運営側からの甘い誘惑に、光のはやさで即答したのだった。
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