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「僕にお話って…?」
バタン、と重厚なドアを閉めた瞬間、俺は園田彰に話を促した。
できるだけ早くこの状態から抜け出したい。
さっき出て来たばかりの生徒会室に逆戻りしなければいけないなんて、思わなくて。
こんなことになるなら昼休みにでも来るべきだった。
いつになく真面目な態度で仕事に取り掛かっていたことがあだになるなんて、これから先のやる気をなくさせる。
「雪。」
「…はい?」
10歩先くらい離れたところに立つ園田彰が、俺の名前を呼ぶ。
「雪は、雪だろ?」
先ほどまでの不自然さを感じさせる丁寧な言葉はカケラもなく、
彼は親しい間柄のひとと喋るような馴れ馴れしさで僕に話し掛けた。
「…えぇ、僕の名前は雪ですけれど…、」
「そうじゃなくて。」
わかってる。
でも、そんなの知らない。
「俺の、雪だろ?」
…。
「なぁ、俺の、「言っている意味が、」」
「…言っている意味が、わからないのですが。」
"俺の"?
は、笑わせる。
今更、何。
過去の話をいつまで引きずってるの?
結局、一方的なんだ。
所有の宣言は、君から俺へ一方通行。
愛する気持ちは、俺から君へ一方通行。
最初から、交わっていることなんてなかったんだ。
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