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8 (彰)
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とりあえず雪を生徒会室に運ぶことにした。
相当具合が悪いのか、雪はまだ瞼を閉じたままで、
抱えたその身体はとても軽くて。
俺が望んでいたのは、こんなことだったのか…?
「雪に影響出来ている」なんて思っていた昔が馬鹿らしい。
傷付けに傷付けて、結局導かれたのはこんな結末。
…いや、まだ、終わっていない。
……だけど、俺は、どちらに進めばいいんだろう。
目指していた方向が間違っていたとしたら、笑えない。
あぁ、全ては今更なんだろうか。
………わからない。
「雪、」
生徒会室にある仮眠室に連れていき、そっと雪をベッドに降ろした。
いつから俺は、こんなに弱くなってしまったのだろう。
雪がいなくなってから必死に彼を探している間、
何度もくじけそうになった。
流した涙の数も計り知れない。
…俺の強さは雪がいたからこそのものだったのだと、
気付いたのは最近。
寝ている雪の頬に触れると、俺の目からは止まったはずの涙がつつ、と流れた。
ずっと雪に、触れたかった。
ずっと雪に、会いたかった。
だけど、こんな形でじゃない。
これはきっと罰だ。
あんな形でしか愛を確かめられなかった愚かな俺への罰。
悔いろ、
悔いろ、
悔いて、悔いて、
悔いるんだ。
雪の傷は、きっとこんなものじゃない。
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