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「らん…?」
蘭は未だにベッドから出てさえいなくて、こちらからは背中しか見えていない状態だった。
「ゆき、はやくいかないとちこくしちゃうよ?」
こちらに背を向けたまま、蘭は心配そうな声でそう言うけれど、
今は登校時間なんてどうでもよくて、蘭の様子が気にかかるばかり。
「そんなことより、蘭、ほんとに大丈夫なの?」
近寄ってそう言うけど、
「だいじょうぶだって、」
ゆきはしんぱいしょうなんだから、もう。と返されてしまう。
「じゃあなんでベッドから出て来ないの…?」
「…。」
「…ねぇ、らん、大丈夫?」
「うん、へいき、ほんとに。」
「体調悪いとかじゃないよね…?
蘭、本当にだ」
「だからっ…」
"大丈夫なの?"、そう言って一瞬蘭の肩に触れた僕の手は、
「だいじょうぶだっていってるでしょ!?」
蘭の腕に思い切り振り落とされてしまった。
「っ」
「…」
「蘭?」
蘭はゆっくりと身体を起こして、今日初めてこっちを見た。
「…っ」
蘭の目は見るからに真っ赤で、いつもはまんまるなのにぽってりと腫れている。
彼はくしゃりと顔を歪め、目のふちには堪えた涙がいっぱい溜まっていて、
痛々しいその表情に、僕まで泣いてしまいそうになってしまった。
「ゆきは…っゆきはずるいよ…!」
「、」
「ぼくにはなにも、何もおしえてくれないのに…!
"だいじょうぶ?"、って言っ、ても、
"へいき"って、むりしてわらってて…!」
とうとう蘭は、声をあげて泣き始めてしまった。
「なのに、そんなふうにふみこんでくるゆきは、ずるい…!」
「っ、」
そうだ、
僕はいつも、触れられたくない、そう逃げて来た。
大好きな親友にさえ、全部隠して、
心配する表情を、見て見ぬふりして…
「ご、めん蘭…」
他に言葉が見つからなくて、僕は謝ることしかできなかった。
「っ、ちがう…、ぼく、こんなことっいいたいん、じゃなくて、」
謝る僕に、"違う"、"違うんだ雪"、と弱々しい声で訴える蘭。
「ぼくは、ゆきがしんぱいだっただけなの、
きのう、だって、…たおれたって…」
「、知ってたの?」
「でんわ、かかってきた…
ほけんの、せんせから…」
先生が『理事長に連絡する』と言っていたけれど、
同室者の蘭にも連絡をいれてくれたらしい。
…というか、どこから翔兄の耳に入ったんだろう。
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