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「あんまりいっぺんに、色んなこと考えなくっていいんだからね?」
潤くんと別れて、また蘭とふたりで歩き始めたときに蘭が言った。
「少しずつ、向き合っていけばいいんだから。
雪はもう、がんばって一歩踏み出したでしょ?」
0と1じゃ全然違うんだからね。と蘭は笑った。
「ん、ありがとう。」
俺、頑張るよ。
「てかさ!何!何なの!
あの子犬と勉強したなんて聞いてないけど!?」
「え?だって言ってないし。」
「僕も呼んでくれればいいのにー!」
「えー、だって蘭と潤くんスグにじゃれ始めるんだもん。」
それじゃあ勉強にならないじゃん、と言ったら蘭はほっぺを膨らませた。
…廊下にいた人たちが騒ぎ始めてうるさい。
その視線から逃れるように教室に入ると、四方八方から挨拶をもらった。
「あのねえ!何度も言うけど僕とあの子は仲良しじゃないの!むしろ敵なの!」
「敵ー?」
「雪の周りちょこまかしててうっとおしいのー!」
「はは、ちょこまかっ!」
「"はは"じゃなーい!」
蘭は肩を掴んでガクガクと揺らすから脳みそがシェイクされて俺はギブアップ。
「あ゙ー、わかった、今度からは呼びますって。」
「わーいっ僕にも勉強教えてねっ!」
「でも蘭頭いいじゃん。順位上のほうじゃん。」
「雪よりは悪いもーん。」
「あんま変わらないでしょ。」
「変わる変わるっ!
あー、そういえばさ、この前のテスト会長1位だったよ。」
「…は!?」
え、だって、あいつそんなに頭よかったっけ…?
悪くはなかったと思うけど…でもこの、レベルの高めな学校で1位取れるほどよくはなかったはず。
何より、勉強しない奴だったし。
「じゃあこの学校転入するために相当努力したんだねえ。」
「…。」
入試より、転入試験の方がはるかに難しい。
…そうか、あいつ、そんなにがんばったのか。
なんかもう、気付いたらいろんなことが変わりすぎてて、
自分がついていけてない気がする。
俺の知らないところでも、世界はしっかりと回っているんだよな。
当たり前、なんだろうけど。
♪ー
『おはようございます、生徒会からの連絡です。』
「「うおー!咲月様ー!」」
「校内放送だ、」
「副会長だね、この声。」
『早急に話し合いたいことがあります。
生徒会役員、及び生徒会補佐は、
今日の放課後生徒会室にお願いします。
以上です。』
「…話し合いたいこと?なんだろ?」
「さあ…」
生徒会室、少し久しぶりだなあ。
そんなことを思いながら席について、またいろんなことが頭をぐるぐるし始めていた。
ーーー
ーー
ー
「雪、一緒に生徒会室行こー?」
授業が終わると、蘭が声をかけてきた。
最初からそのつもりだったから、二つ返事で一緒に向かう。
「「こんにちはー。」」
「こんにちは、雪さん、蘭さん。」
薫先輩はもう既にそこにいて、俺達に挨拶を返してくれた。
「突然で本当にすみませんね、」
「いえ、どうせ僕ら暇ですし。ねえ?」
「はい、全然問題ないです。」
「ありがとうございます、
今日の議題なんですが、」
「そんなことより、」
「あれ?村崎君、いたの?」
「最初からいましたけど!?」
蘭と村崎君との、いつも通りのやりとり。
蘭は相変わらず村崎君に冷たい。
「あんまり潤に近付かないでくださいって言ったじゃないですか!」
そんなこと言われてもなあ…、と思ったけど、
自分の席からこちらをじとりと見つめる村崎君には何を言っても無駄っぽい。
…ていうか、今日の朝一緒にいたことを知ってる村崎君が恐ろしすぎる。
…ほんと好きなんだなあ…。
「わかりました、気をつけます。」
潤くんが何かに巻き込まれたら、俺だって嫌だしな。
「で、議題はなんなんです?」
「うわっ!!書記!君いつからいたの!」
「さ、最初から…」
「影うすっ!!」
急に声を出したのは1年の書記くん。
ひどい言われようだ…今度は素で彼がいたのに気付かなかったらしい。
まあ俺も、いま気付いたんだけど…。
「遅くなってすまない。」
とそこへ、あいつが入ってきて俺らの雑談は終了した。
席に散らばり、みんな会長の言葉を待つ。
「今日集まってもらったのは夏期休暇について話したいことがあったからなんだ。」
つまり夏休みか。
去年は、帰省するひとがわりと多くてさみしい思いしたな…。
もちろん俺は居残り組だし。
「一定の期間中、寮を使用することができなくなった。」
「…え?」
「何年かに一度、一斉清掃があるらしく、
それが今年なんだ。」
嘘…そしたら俺、どこに居ればいいんだよ?
去年みたいに、ずっと寮にいることができないなんて…。
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