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「お疲れ様。」
「お疲れ様です」
口々に挨拶し、部屋を後にする役員たち。
一番最初に席を立ったのは他でもない、あいつだった。
パタン
それに続いて村崎くん、書記くんが出ていき、ドアが閉じたのを横目で確認する。
「雪さん、少しよろしいですか?」
「薫先輩…」
「雪!ぼ、僕外で待ってるね!」
「あ、うん、わかった。」
残ったのは、いつの日かと同じ3人。
俺、蘭、そして薫先輩。
いま蘭が部屋から出たため、薫先輩とふたりきり。
「昨日の話、覚えてます?」
「え…」
「僕の、気持ち。」
「あ、はい…もちろん。」
忘れられるわけないじゃないか、キスされ告白され、だぞ?
「突然、あんなこと言ってすみませんでした。」
「、」
「昨日、雪さんの涙を見て、動揺してしまったんです。
初めてだったでしょう?雪さんが泣くのは。」
辛いことがあっても、貴方は笑っているひとだ。
そう付け足した薫先輩は、自嘲するように笑う。
「まだ言うつもりはなかったんです。
でも結局、告げてしまいました。
そして貴方に迷惑をかけてしまって。」
「そんな、迷惑だなんて…」
「でも、現に困らせている。」
「せんぱい…」
「すぐに答えを出せとはいいません。
ただ、覚えていて欲しい。
僕は、いつでも貴方の味方です。」
「っ」
なんでみんな、こんなに優しいんだ。
逃げてばかりの、ずるい俺なのに。
「ありがとうございます、
…いま、頭の中、ぐちゃぐちゃで…
何から考えたらいいのか、自分でも分からなくて…
でも薫先輩の気持ちは、すごく、うれしいから…
ちゃんと、考えます。」
誠意を持って想いを告げてくれた彼の気持ちに見合うよう、俺も向き合う。ちゃんと考える。
「わかりました。待ってます。」
そう言って、薫先輩は微笑んだ。
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