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「うわっ、戸波の弁当、美味しそう……」
俯きながら箸を進めてた僕に、瀬戸君が声を弾ませて、そう言ってるのが聞こえてきた。
そこで僕は箸を止めて、瀬戸君の手元まで俯いてた顔を上げる。
「この卵焼きとか、美味しそう……。なっ、戸波! 交換しよっか?」
「えっ?」
言われて、更に戸惑う。
瀬戸君……そんなに卵焼きが、好きなのかな?
「あ、いいよ……。卵焼き位……あげるよ」
「えっ? いいのか?」
本当に嬉しそう。
よっぽど、好きなんだろうな……。
「あのさ、ちょっと聞くけど……そのお弁当って、戸波の手作り?」
「えっ? 違うよ。お母さんが作ってくれたんだけど」
「なーんだ、残念。あ、戸波も…はいっ」
何が残念なのか分からなかったけど、僕の答えに納得した瀬戸君は、思い出したように、さっきまで自分が食べていたパンを僕に渡してきた。
「えっ? 僕は……いいよ」
最初から貰うつもりの無かった僕は、そう言って断ったのだけれど……。
「何言ってんだよ! 俺だけ貰うのって悪いだろ。なっ、これ美味いから、一口でいいから食べてみてよ」
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