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「あ……それじゃ……」
瀬戸君の勢いに圧倒されてしまい、薦められるままにパンに手を伸ばした。
受け取ってから、一口サイズの大きさにちぎろうとした瞬間、
「あ、戸波、そんな事したら手が汚れるぞ。そのまま齧っていいから」
「えっ……でも……」
「いいから、いいから。俺、全っ然気にしないから。じゃあ……改めて、いただきます!」
笑いながら言った瀬戸君は、僕のお弁当へ手を伸ばし、あっと言う間に自分の口へ玉子焼きを放り込んでしまった。
それを見た僕も、瀬戸君に言われた様にパンに齧りつく。
その瞬間、甘いメロンパンの味が、口の中に広がってきた。
あっ……美味しい……。
思わず心の中で感想を言った僕は、齧ったパンから口を離す瞬間、唾液の糸が伸びるのを目にしてしまった。
うわっ!
どうしよう……はずかしい……!
もしかして瀬戸君にも、見られたかな?
急いで手で口を塞いだから、時間はほんの一瞬の事だったと思うんだけど……。
もし、見られてたら……申し訳ないというか、恥ずかしい……!
パッと、気になって瀬戸君の方を見てみた。
けれど。
「うん、うまい! 戸波の母さん、料理上手いんだな」
瀬戸君は僕のお母さんが作った玉子焼きを絶賛してたから、おそらく見られてなかったんだと思う。
よ、よかった。
ホッと、僕が安心した所で、昼休みは無事に、終わった。
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