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「優、おはよう」
学校へ向かう途中で、葎っちゃんが僕を見かけて、声を掛けてくれた。
そのまま二人して話しながら、葎っちゃんと一緒に登校する流れになった。
「葎ちゃん、もう風邪は大丈夫なんだね」
「おう! 昨日、優が来てくれた時には、ほとんど治ってたしな」
「そっか……よかったね!」
昨日、帰りに様子を見に行った時も、元気そうだったから心配無いとは思ってた。
けど、こうして学校へ行く葎っちゃんの姿を見ると、改めてホッとしてしまった。
「おっはよ~! 蛍太~」
ドキン。
校門を通り過ぎた辺りで、誰かが瀬戸君に挨拶してる声が聞こえた。
ただそれだけなのに……僕は、寿命が何年か縮まったみたいに、驚いてしまった。
だ、だって……。
――今は、真剣に好きな子が出来たらしくて、その子を落とす為に、似たタイプの子を手当たり次第、実験台にしてるとか
思わず、昨日葎っちゃんが言ってた言葉が、蘇ってしまったから。
それと一緒に、瀬戸君にキスされちゃった時の情景も、思い出してしまって……。
どうしよう。
恥ずかしくて……今、瀬戸君の顔が見れないよ……。
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