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振り返れば誰か分かると思ったのに、視界がぼやけてしまって、全然見えなかった。
でも……この声、何処かで聞いた事があるような……。
それに、向こうは僕だって分かって話しかけてるから、僕の知ってる人に間違い無さそうなんだけど……。
「あっ……あの……」
あれっ、可笑しいな……。
声が、上手く出せない。
どうして……?
「一体何があったの? 優君。そんなに泣いて……。ほら、これで涙を拭くといいよ」
「えっ?」
泣いてる??
ぼ、僕がっ!?
「あ、鏡ないから自分じゃ拭きにくいよね。……じゃあ、私が拭いてあげるね! ちょっと眼鏡が邪魔だから、取らせてもらうよ」
まだ誰か分かってない目の前の人が、親切にも僕が流してたらしい涙を、ハンカチで拭ってくれた。
やっとクリアになった視界で見れば、その声が愛さんだったという事に気付いた。
「あ、愛さんだったんだ……」
掠れて聞き取りにくい声で、僕は言ってみた。
「やだ。今頃気付くなんて……最初から気付いてくれてたと思ったのに。私は後姿だけみた時点で、優君だって分かってたよ」
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