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この音が僕の前で止まったら……その時、僕はっ……。
自分のこの後を想像し、シミュレーションを繰り返していた僕は、殴られる事で頭がいっぱいになって、それ以外は何も考えられなかった。
そうしてるうちに瀬戸君が僕の前にやってきてしまい、とうとうこの瞬間が来てしまった。
次に起こる事を待って、僕は軽く呼吸をして、気持ちを落ち着かせていた。
「あ、戸波。これ……」
何だろう?
怒られて殴られる事しか考えて無かった僕は、俯いて目を瞑っていたのだけど、瀬戸君にそう言われて、閉じてた目を開け、俯いていた顔を上げてみた。
すると、僕の目の前には、落としてきてしまってた本があった。
「こ、れ……」
瀬戸君、拾って持ってきてくれたんだ。
それで、僕を待ってたの……?
「直ぐ……追いかけようと思ったんだけど、本に気付いたから。多分、教室で待ってたら会えるかと思ってさ。ここで……ずっと待ってた」
瀬戸君は若干言葉を詰まらせながら、言ってくれた。
「ご、ごめんね……」
だけど僕は、『有難う』というよりも、先に謝った。
今の僕は、瀬戸君にそれしか言えなかったから。
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