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「はぁ……」
お昼が終わってから僕は、あの事ばかりが気になってしまって、授業も、放課後の会議も、何も耳に入ってこなかった。
そして、あっと言う間に全部が終わり、委員長の野田君が駆け足で教室に戻る背中を見ながら、僕はゆっくりと歩いて戻っていた。
後は帰るだけだし、気は楽なんだけど……。
一体、誰なんだろう?
これで何回目か分からない疑問が頭を過り、考え込んでしまう。
すると突然、頭に軽い痛みが走った。
「いたっ……」
誰かとぶつかっちゃったみたい。
謝らなきゃと思って、急いで俯いてた顔を上げれば、
「あ……瀬戸っ、くん……」
そこには、瀬戸君が立っていた。
「……戸波」
なんだか瀬戸君、思いつめた表情を浮かべてる……気がする。
どうしたんだろう?
「あ……ごめっ……」
とにかく謝って、早く離れなきゃ!
そう思って、直ぐに実行しようと思ったのに……。
「えっ?」
逆に、身体を引き寄せられ……そのまま、抱きしめられてしまった。
「……なぁ、戸波。昨日の返事……聞かせてくれないか?」
ちょっと掠れた瀬戸君の声が、僕の耳元で聞こえてくる。
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