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「……」
すると、そこで瀬戸君がついに黙ってしまって、僕達の間には沈黙が訪れてしまった。
瀬戸君が、今の状況をどう受け止めてるのか分からなかったけど、僕はさっきよりももっと、悲しくなってしまった。
それも、何故だか分からなかったんだけど。
「俺……帰った方がいいみたいだな……。戸波、迷惑そうだし……」
暫くの沈黙の後、瀬戸君が言ったその言葉で、僕は酷く動揺してしまった。
だって、瀬戸君が言い終えてから直ぐに僕に背中を向けて、帰ろうとしてたから……。
本当はまだ……居て欲しい。
このままで終わりなんて……嫌だった。
居なくなってほしくなかったから、僕は咄嗟に瀬戸君の制服の裾を掴んで、引き止めてしまったんだ。
「と……なみ……?」
僕の方を一切振り返らないままで、瀬戸君は戸惑ってるみたいな声を出した。
振り返ってくれない事に対して、僕は自分が瀬戸君にとって本当にどうでもいい存在なんだって思ってしまって、胸がまた、苦しくなった。
けど、帰ろうとしてた足を止めてくれた事には、ホッとした。
そして……顔を見ながら言える勇気なんてなかったから、背中に向かって喋れる状況にもホッとする。
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