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だけど、今更気付いたって……もう遅いよ。
だって、僕の目の前に居る瀬戸君は、もう……。
「戸波っ……」
瀬戸君のその声と共に、僕の身体に瀬戸君の腕が回された。
「戸波……教えて……くれるか?」
「えっ?」
瀬戸君のぬくもりと、優しい声……。
それは、少し前に毎朝教室で聞いてた声と、少しも変わらなくて……。
その事が僕を安心させると同時に、夢なのかなって、不安も生まれてくる。
「戸波……戸波は俺の事、どう思ってる?」
「……」
瀬戸君の優しい声。
抱きしめられて伝わってくる、温かい感覚。
それを感じただけで……僕は安心してか、つい、涙ぐんでしまう。
「……き……」
そして、今のこの気持ちを伝えたくて……口を開いて、瀬戸君の質問に答えたつもりだった。
だけど、うまく声に出せなくて……戸惑った。
こんなんじゃきっと……僕の気持ち、瀬戸君には伝わらない……。
だから、僕はもう一回、声にならない声を振り絞って、挑戦した。
「……っ……きっ……好き……瀬戸君が……好き……」
好きって口にする度、もっと早く言えばよかったっていう後悔の思いからか、胸がギュッと切なくなる。
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