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春の風物詩である桜が散って緑の葉が息吹き出してきた4月中旬。
高校に入学して1年が経った…つまり、学年が1つ上がったと言うことだがクラスの半分以上は顔を知らない。
そんな教室にポツンと、椅子に座っている俺、白崎薺は窓の外を眺めていた。
因みに今は一番大嫌いな数学の時間。数IIなら計算をするだけだからまぁ許せたけど、数Bは無理だ。何だよ数列って…意味の分からないマークを使いやがって…数学のクセに生意気だよ。
余りにも分からなさ過ぎて真面目に受けるのが嫌になった。それに、数学の授業教えてる中年の男の先生が俺をチラチラと見てくる。
大方、女顔で小綺麗な俺に見惚れちゃってるのかな?
もういつものこと過ぎて慣れちゃったよ。
まぁ、そんな不躾な視線から逃げるように窓の外を見てるってわけ。ジロジロ見るなって言いたいけど、そんなこと言えばこの先生はクラスで笑い者にされるかもしれない。それは後味悪いから何も言わない。
「ふぅー…」
小さく息を吐く。何処にいても目立つこの顔。昔から女に好かれず男にばかり好かれてきた。息の詰まる生活にうんざりしつつも、仕方がないと思ってる。
俺はこうやって生きていく運命なんだから。
だから仕方がないんだ。俺が俺らしく生きて行くことは無謀なんだと自覚してるから…。
苦痛だった数学の時間が終わり次の準備をしていると、人影が出来て反射的に顔を上げる。そこには、見知った奴が立っていた。
「薺、次の英語のクラス一緒だったよな?」
「うん、咲夜もあのおばさん先生だろ?」
「やだよなー、あの人自分よりも綺麗だからって薺ばっか当てんじゃん。どう考えても嫌がらせだろ」
「違うだろ。俺のことが嫌いだから当てて来るんだよ」
正確に言えば、この顔を見るとイライラするんだろうな…。
クリッとした大きな二重の焦げ茶の瞳に普通よりも赤く染まった唇、暗めの栗色のくせっ毛に色白の肌。左の口元にある黒子。人形のようで女の子よりも綺麗だと言われ続けたこの顔に。
俺の言葉に咲夜は一瞬目を伏せる。でも直ぐに、「性格悪いよなあの人!」と笑ってくれた。
片桐咲夜(かたぎり さくや)は、俺の中学からの友達。昔からこの顔の所為で色々と危ない目に遭ってきたが、咲夜がいつも守ってくれた。
高校を選ぶときも偶々なのか受験日に咲夜もここを受けると聞かされて驚いたが、めでたく2人で入学できたのだ。
いつもいつも俺なんかの為に側にいてくれる咲夜が、俺は大好きだ。
あ、勿論。親友としてな。
でも、本人に言うのは照れ臭いから面と向かっては言ったことないけど。
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