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移動教室と言っても、隣のクラスでやるからギリギリまで自分の教室で咲夜と一緒に時間を潰していた。
次の時間の英語は、ペアーで音読し合うことから始まった。咲夜と同じクラスだけど席は隣でないため知らない奴とペアーだ。
「よ、よろしくな白崎」
「うん、こちらこそ」
名前も知らない奴に愛想良く笑い返す。相手の機嫌を取るように笑うのは、もう癖みたいなモノだ。
俺は別に嫌なこと言われてもされても仕方がないで終わらせる。けれど、周りの人間が不機嫌になるのを見るのは嫌だ。
それは、いい子ぶった意味ではなく、ある意味俺の防衛手段。不機嫌にさせて怒らせるのを防ぐためだ。
教科書を一文ずつ交互に読んで、読み終わったペアーから座って行く。俺達のペアーはと言うと、相手の奴は読みながらも俺の顔をチラチラ見てくるから読むのが遅い。
結局、一番最後まで残ってしまうのだ。これも、いつものことで慣れた。
「じゃあ、今のとこ…白崎、読んで」
そして、英語の時間にこうして当てられることも日常になっている。どうして俺ばかり…と、最初の頃は思ってたけど、考えても目立ってる自分が悪いと解釈し、もう何も思わなくなった。
それに、英語はどちらかと言うと好きだから、英文を読むのは序の口だ。まぁ、おばさん先生はどうやらそれが悔しいらしく毎回俺を当てるんだけど…。
スラスラと読み進める俺をいつもの如く苦虫を噛んだ表情で見てくる。そんな顔されても困る。演技で読めませんなんてしたくない。
それはそれで、相手に失礼だし成績が下がりそうだ。まぁ、おばさん先生はそれに気付かず年甲斐もなく喜びそうだけど。
まぁ、本当にそんなことしたら教師として疑うけどね。
読み終わって座ると、一番前にいる咲夜がこっちを見てひっそりとピースサインを送ってきた。
こらこら、一番前なんだから先生にバレるよ。内心、ちょっぴりヒヤッとしたが、それに苦笑しながら俺も返した。
毎日毎日、こんな感じで過ぎていく日々。
別に人生がつまらないとか言わないけど、退屈なのは本音だ。気の合う友達も咲夜ぐらいしかいないし、女の子達からは偶にいびられる。
彼女もいたことはあるが、フラれる時の言葉が『私より綺麗な人とは付き合えない』だって。
俺だって好きでこの顔に産まれたわけじゃない。綺麗なのは自覚しているが誰も俺の中身を見てくれる人はいない。
…俺に「この人の一生側にいたい」
そう思える恋愛が出来るのだろうか?
"俺なんか"を想ってくれる人に出逢いたいな…。
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