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その様子をゲラゲラ笑いながら眺めている咲夜は、何だかんだ言いながら俺の隣に座った。他の試合をやっていない奴らは立ったままフェンス越しで見ている。
今座っているのは俺らだけ。
「…なぁ薺」
「何?」
「お前、紫波さんと仲良いのか?」
咲夜の言葉に動きが止まる。何でそんな質問をするのか、咲夜の意図が分からないのだ。
仲良いのかそうじゃないかなんて…どっちとも言えない。
まだ会って少しだし話すことも少ない。その質問を他の奴らにしないのには理由があるのか…?
友人に対しても疑い深くなってしまうのは最低だと思う。でも、人を信じるのを怖いと思うのと同時に俺なんかに構って欲しくないとも思ってしまう。
「…ただのコーチと部員の関係だから、仲が良いのかどうかはよく分かんないな」
「じゃあ言い方変える。紫波さんと仲良くなりたいと思うか?」
…その言葉に俺が"仲良くなりたい"と言うと思っているのか?咲夜の真意を探ろうと顔を見たら、いつになく真剣な表情をしていた。
「…咲夜、その質問の答えは考えれば分かる筈だ」
「……」
「答えは"NO"だ」
それだけを言うと俺は立ち上がり遠くにいる紫波さんを見つめた。
仲良くなりたい?そうだな、本音を言うと仲良くなりたい。彼の人柄に触れると居心地が良くて落ち着くから。
でもきっと、それだけじゃ済まなくなるかもしれない…自分だけを見て欲しい。他の奴と仲良くなって欲しくない。
それは、"友達"としての枠を超える気持ちだ。
俺は昔から男に好かれることが多いからか、女だけじゃなく男もイケる…所謂、バイセクシャルだ。
因みに、初恋の相手は男だった。
俺は普通じゃない。だからこそ、そんな俺が彼みたいにキラキラと輝いている人と親しくするのは相手が可哀想だ。
咲夜だって知ってる筈だ…俺が"悪魔"と呼ばれていたことを。
中学の時、仲の良かった同級生や先輩から告白されたことが何度かあった。勿論、男にだ。好きでもない奴と付き合うなんて出来ない俺は申し訳なく断ってきた。
でも、何故か分からないけど…口裏を合わせたかのように皆言うんだ。
『お前最低だな。どう見ても俺に好意を持ってるって思わせ振りするなんて…天使みたいなのは顔だけかよ…この悪魔!』
そんは心ない言葉に当時は傷付いていた。そんな時、偶然居合わせた咲夜によってその言葉を聞かれた。
咲夜は優しい奴だからそれを言ったソイツや他の奴らに怒ってたっけな?
でも、俺が悪魔なのは事実なんだよ…俺は人を不幸にしか出来ない、悪魔であり、厄病神なんだから。
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