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開店時間になり店を開けて少し経つと、何人か店に入ってきた。
その誰もが顔を知っている常連さんだ。
「おっ、今日はナナちゃんいるんだ」
「それならウメちゃんもいるぞ」
「ハクちゃんは今日も可愛いね」
こうして常連さんは俺らと出逢えたことを喜んで貰えることは純粋に嬉しい。
そして、ミキさん曰く俺ら3人はeryngoの中で人気トップ3らしい。
まぁ、顔は悪くないもんな俺ら。
仕事帰りのサラリーマンや恋人同士、色々な職種な人がここには集う。社会の道徳に反している感情を隠すのはストレスになるだろう。
そんな人達にとってここが憩いの場をなって欲しい。
そう願わずにはいられない。
時間が経つにつれてお客さんの出入りが激しくなる。カウンターでお酒を作ったりオーダーが入ったら裏で作業をして…。
動き回る時間しかなくて正直疲れるが、いらないことを考えなくても良いことはありがたい。
そうこうしてる内に時刻は10時になっていた。もうそろそろ俺の常連さんがやって来る時間になるな…と思ってたら、カランコロンとドアが開く音がする。
「…いらっしゃいませ、佐合さん」
「やぁナナ。久し振りだね」
「はい、課題が多くてなかなかバイトに出れなくて」
「ははっ、大変だね大学生は」
クスクスと笑いながらカウンター席に座る佐合(さごう)さん。
彼は俺の常連客だ。ここのバイトを始めて直ぐに出逢った人で、よくバイト終わりに食事に連れて行ってくれる。
因みに、お客さんには俺は大学生と言うことで通している。
佐合さんは物腰が柔らかく人に好かれやすい。それは勿論、女性からだ。
でも、佐合さんは生粋のゲイであるから女性に言い寄られることにストレスを感じていると話してくれたことがある。
佐合さんのような人がここに通って、俺達ボーイが癒しを求めてくるお客さんを癒す。
それがここの方針だ。
カウンター席に着いた佐合さんに水とおしぼりを手渡す。俺達にとったらそれは当たり前のことだが、いつも佐合さんは「ありがとう、ナナ」と笑顔でお礼を言う。
「今日は何にします?」
「そうだな…仕事で疲れてるから弱めのモノにしようかな」
「なら、カンパリオレンジにしますか?」
「ナナが作ってくれるともっと美味しくなるのにね」
「すみません、カクテルはウメさんが担当なので。代わりに、フルーツやチーズを頼んでくださったら俺が盛り付けますよ」
「ナナの作った物じゃないのは残念だが…チーズをたのむよ」
「かしこまりました」
それでは失礼します、と言いその場を離れた。
裏に行く途中にウメさんにカンパリオレンジをお願いした。
裏でマニュアル通りに盛り付けて、出来上がったカクテルと一緒に佐合さんの元へ向かう。
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