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常連さんとホテルに行く時、いつも同じホテルと決めている。
そこは、ホテル街に入って直ぐのホテルで、男同士でも入れる数少ない所だ。
まぁ、ホテル街と言ってもバーやクラブと言ったモノもあるから、それ目的で来る人ばかりじゃない。
ホテルの部屋に入りまずは各々シャワーを浴びる。そのままベッドに流れ込む奴もいるが、それはマナー違反だと思ってる。
それに、表面だけでも綺麗になった姿を見てもらいたいと思うものだろう?
「…お待たせ、ナナ」
「…佐合さん」
先にシャワーを浴びた俺は、ベッドの上でボーとして待っていた。そんな俺の隣に座りながら佐合さんは言った。
俺は彼の姿を視界に入れた途端に、彼をベッドへと押し倒した。
「…ナナ?」
「…もう、嫌だ…」
突然のことに目を見開いて俺を見る佐合さんに、無意識に小さく呟いた。
いつまで経っても過去から抜け出せない自分に…。
人と壁を作って接する自分に…。
自分を偽ることしかできないことに…。
全てが、嫌になる。
佐合さんを押し倒した俺は、佐合さんが着ていたバスローブの紐を解きながら首筋に口付けを落としていく。
…早く、早く俺を汚して…。
「っ待つんだナナ!どうしたの急に!?」
「お願い…何も考えられなくして」
「何?落ち着いてよナナっ」
慌てる佐合さんの言葉を無視して首筋からどんどん下へ口付けていく。
そして、佐合さんの性器に手を掛けようとした瞬間…。
「っナナ!」
「ぅわっ!」
名前を呼ばれたのと同時に両頬を掴まれて顔を強制的に上げさせられた。
突然だったから全く覚悟をしていなく、首が少し痛い。
そして、佐合さんと目を合わせた時、彼の表情はいつも見る眉間に皺を寄せた複雑なモノだった。
その瞳には、浅ましに顔をした俺が写っている。
「今日は止めよう」
「な、何で…」
「何で?ナナがおかしいからに決まってるだろ?何かに取り憑かれたように機械的にヤるなんて虚しいだけだ」
「…いや、だ。お願いだから俺を触ってくださいっ」
人を傷付ける俺なんかを大切にしなくていい。
俺なんて人間は誰かの性欲処理として役立てば充分なんだから。
そう言えば、佐合さんは「っ自分を大切にしろ!!」と初めて俺を怒鳴った。
「言っただろ!?俺はナナに幸せになって欲しいって!なのに、"俺なんか"なんて言うな!"性欲処理でいい"なんて言うな!ナナを大切にしている俺らをバカにしてるのか!?」
「っ違う!俺は…そんなつもり…」
「ナナは気付くべきだ。自分がどれだけ周りに大切にされているのか、愛されているのか」
俺を真っ直ぐ見つめる佐合さんが、何度も俺と向き合おうとした紫波さんの姿と重なった。
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