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気持ちを伝え合い暫く抱き合っていたら、僕のクシャミでそれは終わりを告げた。
「寒い?」
「いえ…ヘッ、クシュンっ」
「薺君、少しずつ俺には甘えていってね」
ニッコリと笑ってるのに目は笑ってない…別に怒ってるわけじゃないけど、「早めに言った方が身の為だよ?」と言われてるようだ。
僕は彼の様子を伺いながら「…少しだけ…」と消えかけそうな声で白状した。
流石に長い間、雨に打たれていたから抱き締められていても体温が下がっていた。
「ん、よく言えました」
「ちょっ、子ども扱いしないでくださいよ!」
小さな子に言うようなセリフと頭をポンポンとされ下から睨んだ。
けれど、「睨んでも怖くないし、俺のこと誘ってるの?」と言われ撃沈。
どうやら紫波さんは爽やかイケメンだけでなく、ちょいSな持ち主だった。
「時間も遅いし雨で濡れてるし、この状態で家に帰すのもな…」
「あのっ、僕は大丈夫ですから…紫波さんは風邪引かないうちに…っクシュン!」
「…よく分かった。これからは薺君の"大丈夫"は信用しないことにするよ」
苦笑いを零しながら酷いことを言う紫波さん。それに対して頬を膨らませて不貞腐れていると、「…可愛いだけだから膨れっ面にならない」と言われて照れてしまったのは仕方がない。
「んーじゃあ、ホテルでも行く?」
「へっ!?」
「ん?もしかして期待してる?」
「えっ、あっ、ちがっ」
「安心して、付き合って直ぐに手は出したりしないから、多分」
ポンポンと頭を撫でられながら言われたが、最後の多分がなければカッコ良く決まってたのに…いや!別に紫波さんはいつでもカッコいいもん!
うんうん…と頷いていたけど、一つ確認しなきゃいけないことが出来た。
「あの、紫波さん」
「ん?なーに?」
「…僕達って付き合ってることでいいんですか?」
首を傾げながら重要なことを聞いた。
そもそも、好きだとは言ったけど付き合うとは一言も言ってない。
けれど、紫波さんは…。
「好きって言ったから付き合うことだと思ってたけど…?」
そういう考えだったらしい。
紫波さんがそう言うなら僕達は付き合ってるってことになるな…と思ってたら…。
「じゃあ改めて…俺と付き合ってくれる?」
そうわざわざ僕の為に言ってくれた。
こうやって一つ一つ僕に言葉をくれる紫波さんが好きだ。
紫波さんの言葉に僕も「はい、よろしくお願いします」と笑って返した。
人を好きになると世界がキラキラして見えると言うけど、僕の場合は好きな人と想いが通じあったら世界が変わった。
冷たい雨もこの人が隣に居てくれたらへっちゃらだ。
「…で、どうする?ホテルで雨宿りでもいい?」
「…いいですよ、僕…もう少し紫波さんと一緒に…っいや、何でも…」
「うん、俺も薺君といたいから行こっか?」
素直に自分の意見を言えない僕に、紫波さんはその続きを言ってくれた。
それだけで同じ気持ちだとホッとする。
僕達は手を繋いでホテルを探し出した…。
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