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「ナズの可愛さを知ってる奴らに嫉妬したってこと」
「…キョウ君、僕男だからね?可愛いって言われても素直に喜べないよ…」
「ナズは自分の魅力を自覚しなさい」
今度は額と額をコツンと合わせて超至近距離で目が会う。彼の黒い瞳が間近にあるしキス出来る距離に再び体温が上がった。
お互いに気持ちを伝えて恋人になってから、キョウ君は常に僕に触れている気がする。
今まで付き合っていた女性にもこんな風に触っていたのかな…そう考えると、自分の中で黒い感情が湧き出す。
「…離して」
「…ナズ?どうかした?」
「別に…」
過去のことを聞くなんて女々しいことしたくない。過去は過去、今は今と割り切りたいが…。
やっぱり面白くない。
昨日から続く相反する気持ちに感情がコントロール出来ないのか、視界が歪んで見えてきた。
あーもう、ここで泣いたら迷惑かけるに決まってる。面倒くさい奴って思われてしまう。
それだけは嫌だと思い、下を向いてさり気なく目元を拭った。
「…薺、顔上げて」
「っいや…」
「下向いたままだと薺の涙が拭えないよ」
優しい声色でポンポンと頭を撫でられると、その声と手に縋って恐る恐る顔を上げる。
その拍子に片目から一筋だけ涙が頬を伝った。
「言いたいことは口に出さないと相手には伝わらない。俺は超人じゃないから薺の心を覗くことは出来ないから、その時その時、薺がどう思ったのか、どう感じたのか…俺に話してくれない?」
「で、でも…面倒くさがられる…っ」
「それを決めるのは薺じゃない。俺だよ。それに、薺の話を面倒くさいとか思うわけないじゃん」
ゆっくり、僕に伝わるように話しながら、額から目元、鼻、頬…順番に口付けを落としていく。
そして最後に、唇に触れるだけのキス。
その一つ一つのキスと言葉が身に染みて、頑なに開けなかった扉を開放したくなった。
「んっ……キョウ、君は…いつもこうなの?」
「ん?こうって…?」
「えっと…今まで付き合ってた女の人にも、スキンシップが激しい…って言うか何て言うか…」
ハッキリ言い過ぎたんじゃないかと思い、語尾が曖昧になった。
何て言われるか…聞いたは良いけど返事が怖くてグッと目を瞑り俯いた。
「なーず、折角顔上げてくれたのにまた下向いちゃダメでしょ」
「…うにゅ」
今度は両頬に触れられると強制的に顔を上げさせられた。
ついでに反射的に目も開けてしまったが、キョウ君は変わらず笑顔で僕を見ていた。
「ナズの質問に質問。それって嫉妬?」
「しっ、えっ?」
「あれ?自覚なかった?ナズに対してと昔付き合ってた子達と同じ扱いじゃないかって嫉妬してますって言ってるんでしょ?」
まさに、言いたかったことを当てられて言葉に詰まった。
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