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有無を言わせない…いや、無しとは言わせない、必ず話せと言う口調にどうするべきか悩んでしまう。
どこまで話せば納得してくれるのか?
何を話したらいいのか?
相手を傷付けないようにはどうすればいいのか?
色々あれこれ考えてしまい視線を逸らして口籠るしかなかった。
その時、頭上で「…ふぅー」と深い溜息を吐かれ身体がビクッと震えた。
「分かった、薺が言わないなら俺から聞く…薺は俺といつか別れるつもりなのか?」
「ち、違っ…僕はっ、僕からは別れるつもりなんて…」
「それは、俺から別れを切り出すと思ってるってことか?」
「っ、だ、だって…っ」
前にキョウ君自身が感情的になると口調が荒くなると言っていたが、まさに今がそれだ。
そして、自分にその口調で話されるとは思ってなくて、言わない、と決めていた感情がボロボロと崩れる。
「…いつか、いつかキョウ君は、女の人と付き合って結婚して、家庭を持つべきなんだよ。その時に僕なんかいたら迷惑でしょ?
大丈夫、こう見えても僕、強いか…っ!」
そう笑いながら最後まで言い切る前に、キョウ君の唇が荒々しく重なる。
突然のことで驚き目を見開いていたら、半開きになっていた口から舌が入り込んで口内を弄る。
「んふっ、ふ、ぁ…っぁ」
鼻から抜ける音と卑猥な水音が静まっている部屋に響く。
その荒々しさは口調と合っていて…僕の言葉の続きを聞きたくなくて塞がれた気がした。
それでも、荒々しくても、そこから愛情が流れ込んで来るから嫌だとは思わない。
キョウ君の舌使いに翻弄されながらも満足したのか、ゆっくりと離れて僕と視線を合わせる。
その時目に入った彼の濡れた唇が、余りにも色っぽくて赤面してしまったが…。
「…勝手に決めるな」
「っ…!」
「これからの俺を薺が語るのはおかしくないか?結婚することが幸せだと思ってるなら違うな。結婚出来なくても本気で好きになった人と一生を添い遂げる方が、よっぽど意味がある」
その真っ直ぐで芯のある言葉が胸に刺さる。
僕はそう思ったことがないから。自分が結婚をすることも、自分の遺伝を持つ子どもを残すことはないと思っているからこそ、それが出来ることが幸せだと思った。
でもキョウ君は違う。結婚とかそう言う括りに拘らないんだ。
「だからさ、俺の幸せを押し付けんな。この先どうなるかは分かんないけどさ、少なくとも今は薺と一緒に生きていきたいと思ってる」
「…っそれで、いいの?」
「ん?」
「男同士だから隠さなきゃいけないことはたくさんあるし、僕は男だからキョウ君の子どもを産んであげれない…それでも、僕と一緒に生きてくれるの?」
こんなこと、重いって思われるかもしれない。けれど、ここまで言われたら願ってしまう。
ずっと一緒にいてくれるんじゃないかって…。
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