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翌日、ちゃんと朝から学校へと行ったら咲夜に風邪の心配をされた。
本当は嘘なんだけどな…と少しの罪悪感があったが、「心配してくれてありがとう」と言うと驚いた表情をされた。
「薺が素直に礼を言った…」
「ちょっと待て、何でそんなに驚くんだよ」
「だって薺だぞ?あの薺だぞ?」
「…咲夜、お前それを本人の前で言うのか」
どう考えても失礼だよね?まぁ、自分でも素直にお礼を言えるようになったのは驚いたけどさ…。
これもきっと、キョウ君のおかげ…かな?
「あ、そうだ。昨日何か宿題とか出た?」
「出た出た、薺の嫌いな数Bの宿題」
「うわっ、"俺"に出来ると思う?」
「どうだろうな、それなりに難しかったぞ」
咲夜の席と隣のクラスメイトの席に座って笑いながらお喋りをする。
キョウ君の前では素の自分を曝け出せたのに…咲夜の前でも、家族の前でも偽りの自分が出てしまう。
…あぁ、何で僕は変わらないんだろう…キョウ君にはできても他の人にもできなきゃ変わらないのに…。
奥歯を噛み締め不甲斐ない自分にイラついていたら、マナーモードにしていなかったスマホから通知音が入った。
何だろう…と思いポケットから取り出して確認すると、キョウ君からLINEが入ってた…。
昨日はあれから2人でルピナスに向かって、カフェで朝食を摂ってから図書館で本を読んで過ごした。
2人で何処かに行くのもいいと思うけど、その時はひっそりと過ごしたかった。
2人共本を読むのは好きだから別に苦じゃないしね。夕方前にそれぞれ帰路に着くことにした時に連絡先を交換したからLINEが来る…と言うこと。
キョウ君からのLINEに何だろう?と思って開いて確認すると、「今日の放課後練習顔出すから、ちゃんといるように。それが終わったら2人で帰ろう」と言う内容。
その言葉に嬉しさが込み上げて口角が上がった。
今まで感じていたイラつきや不甲斐なさは不思議と消えていた。
…キョウ君ってやっぱり凄いな。離れているのに僕の気持ちを見透かしているようだ。
彼からのLINE1つで晴れやかな気持ちに変わった。
「…薺、何か雰囲気変わったな」
「えっ、そう…?」
「そうやって自然と笑えるようになったことも、素直になれることも…あの人となんか進展あった?」
机に頬杖を突きながら嬉しそうに聞いてくる咲夜に、僕はキョウ君とのことを話すべきか迷った。
咲夜は僕達のことを応援してくれはいるけど、実際問題、伝えるかどうかは別だろう。
それに、これは僕だけで決めていいものではない。
同性同士だと、隠して関係を続けていく方がいいと分かっているから、もし伝える場合は2人で決めた方がいいと思う。
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