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「ふふっ、逆に俺は英語は苦手だな…」
「キョウ君でも苦手な科目ってあるんだ」
「待って、ナズにとって俺はどれだけ高い位置にいるの!?」
「んー…何でもできちゃう人?」
「…俺の固定概念を変えていかなくちゃ」
机に両肘を付いて頭を抱えるキョウ君の姿にクスクスと笑う。
見た目は爽やかで完璧に物事を熟せる人だけど、本当は人並みにできることが多い人。
僕は完璧を求めはしない。それは、自分に対しても相手に対しても…。
だって、完璧になんでもできる人なんていないんだから。
完璧じゃない方が人間味があって僕は好きだ。
さて、ここで立ち止まっていても仕方がない…そう思いペンを持ち問題を解き始める。
しかし、苦手で嫌いである数Bが分かる筈もなく…開始1分で撃沈した。
「…この問題は、まずこうして…次にこう考えて……で、どう?」
「…当たってる」
見るに耐えなくなったのか、横からキョウ君がテキストに書き込みながら丁寧に教えてくれた。
しかも、付録に付いている答えで確認してみれば当たっていて…。
「これ、基礎の問題じゃない?」
「…だって、ここの単元基礎から分からないし…」
「それだとテストで赤点採って追試受けることになるね」
ストレートに言われて言葉に詰まる。まさに、今一番悩んでいることだ。
1年生の頃からどの教科も赤点はなかった。それぞれ平均かそれ以上だったから…でも、数学だけは、数Bだけは赤点ギリギリばかりだった。
それが、今回は赤点を採りそうな感じで焦っている。
そんな、正論で何も言えない僕に救いの手が伸ばされた。
「良かったら俺が教えようか?」
「えっ、いいの?」
「応用までは無理だけど、基礎だけなら」
「基礎だけで十分です!赤点さえ採らなきゃいいから!」
「…それはそれで、低い目標だね」
苦笑いされたがこの際気にしない。
赤点なんて採ったら追試のためにまた勉強しなきゃいけないのは面倒くさい。
それに、バイトをテスト週間には入れられないから終わったら入れたいし。
…そう言えば、僕ってバイトのことキョウ君に話してないよね?
「…毎日じゃなくていいから教えてください」
「俺は毎日でもナズに会いたいけどな」
「っ、それはキョウ君が大変だからダメっ」
「…ここが公共の場じゃなかったら押し倒してるよ」
「キョウ君の変態っ!」
この人のスイッチが何処にあるのかよく分からない。いや、多分理解もできないと思うけど。
と言うことで、連絡を取り合って勉強をここで教えて貰うことになった。
来週はテスト1週間前で部活はなくなるから、キョウ君の都合のいい日に会うことに。
「毎日少しの時間でも開けるから安心して」
…何に安心すればいいんだって感じだけど。
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